後悔しない木造住宅とは?木の家ならではの特性を理解して、快適に建てて住まう対策を紹介。
木造住宅に限らず、住宅の造りにはメリット・デメリットの両方があります。木造住宅についても例外ではなく、当然メリットだけではありません。
しかし、木造住宅のデメリットは防ぐことが可能です。そこで「木造住宅のデメリット」と合わせて「デメリットを補うための対策」について解説します。
しかし、木造住宅のデメリットは防ぐことが可能です。そこで「木造住宅のデメリット」と合わせて「デメリットを補うための対策」について解説します。
木造住宅のデメリット3つ
木造住宅のデメリットは、大きく3つあります。
• 柱や壁がやや多めに必要になる
• 住宅の完成度が木材の質や職人の腕に左右される
• 木構造がシロアリ被害や腐りにあうことがある
いずれも木造住宅のデメリットとしてよく挙げられます。しかし、それぞれのデメリットは対策が可能です。
以下では「なぜそれぞれのデメリットが生じるのか」と合わせて「デメリットを補う対策」について解説します。
具体的には、鉄骨造のような広いリビングや壁一面窓のような造りが難しいです。ただし、必ずしも実現できないわけではないので、設計士や施工業者に相談してみてください。
参考: 木造住宅の基本構造とは?家を建てる時に役立つ、構造や工法までの知っておくべき木造住宅の基礎知識
とくに、木造軸組工法(在来工法)は、職人が木材を加工するため、技術の差が生じやすいと言われていますが、匠の技がひかる、より素晴らしい住宅が出来るのもこの工法ならではの特徴です。木材など建築の材料に関しては、事業者にお任せしがちですが、どの産地のどんな木材を使うことが出来るのか?産地や樹種ごとに特性を聞いて相談したうえで建ててもらえれば、柱やフローリングなど目につく場所であればなおさら、より愛着がわく家になります。
なぜなら、木造壁式工法は、材料が規格化されているからです。指定されたサイズの木材を使用するので、職人による技術の差が生じづらい傾向にあります。
一方で、鉄骨造の家であれば、シロアリ被害を心配する必要はありません。
このように、害虫による被害については、木造住宅のデメリットと言えるでしょう。ただし、木材の腐りは水分が入らなければ起こらないため軒をしっかり出すなど、設計と施工に注意する事で防ぐことができますし、施工会社によっては引き渡し後も一定期間にわたってシロアリ検査や薬剤散布などを行ってくれる場合があるので、一度施工業者に相談してみてください。
また、防蟻性に優れている木材は、耐朽性が高く腐朽しにくい傾向があります。
耐朽性の高い木材としては「ヒノキ」「ヒバ」「スギの赤身」などが挙げられそれぞれ金額も高くなりがちですが、樹齢の高い材ほど耐久性が高くなります。
• 柱や壁がやや多めに必要になる
• 住宅の完成度が木材の質や職人の腕に左右される
• 木構造がシロアリ被害や腐りにあうことがある
いずれも木造住宅のデメリットとしてよく挙げられます。しかし、それぞれのデメリットは対策が可能です。
以下では「なぜそれぞれのデメリットが生じるのか」と合わせて「デメリットを補う対策」について解説します。
柱や壁が必要になる
木造住宅は、構造上、壁で耐震性を確保するために取り除けない柱や壁があります。場合によっては設計が制限されてしまうケースもあるため、設計時に不便と感じてしまうケースがあるでしょう。具体的には、鉄骨造のような広いリビングや壁一面窓のような造りが難しいです。ただし、必ずしも実現できないわけではないので、設計士や施工業者に相談してみてください。
木造軸組工法(在来工法)なら設計の自由度は高い
木造住宅では設計が制限されてしまうと解説しましたが、木造軸組工法(在来工法)であれば自由度の高い設計ができます。木造軸組工法は、傾斜地や変形地のような立地でも住宅を建てやすく、リフォームも行いやすいです。木造軸組工法(在来工法)とは
木造軸組工法とは、日本で古くから親しまれている工法です。木造軸組工法の代表的な建築物として、神社仏閣があります。参考: 木造住宅の基本構造とは?家を建てる時に役立つ、構造や工法までの知っておくべき木造住宅の基礎知識
住宅の完成度が木材や職人の腕の質に左右される
木造住宅は、天然の木材を使用して、その場で加工して住宅を建てる工法もあるため、木材そのものの質や職人の腕に左右される部分があります。品質や仕上がりにバラつきが生じやすいとも言えます。とくに、木造軸組工法(在来工法)は、職人が木材を加工するため、技術の差が生じやすいと言われていますが、匠の技がひかる、より素晴らしい住宅が出来るのもこの工法ならではの特徴です。木材など建築の材料に関しては、事業者にお任せしがちですが、どの産地のどんな木材を使うことが出来るのか?産地や樹種ごとに特性を聞いて相談したうえで建ててもらえれば、柱やフローリングなど目につく場所であればなおさら、より愛着がわく家になります。
木造壁式工法(2×4工法)なら品質の差が生じにくい
木造壁式工法(2×4工法)は、品質の差をある程度一定に保てます。なぜなら、木造壁式工法は、材料が規格化されているからです。指定されたサイズの木材を使用するので、職人による技術の差が生じづらい傾向にあります。
木造壁式工法(2×4工法)とは
木造壁式工法(2×4工法)とは、海外発祥の工法です。2×4(ツーバイフォー)とも呼ばれる工法で、名前のとおり2インチ×4インチの構造材を木枠にして、合板を打ち付けて住宅を建てていきます。木材も輸入材が使われることがほとんどです。木構造がシロアリ被害や腐りにあうことがある
木造住宅は、天然の木材を使用するため、シロアリなどの害虫や、防腐対策が必要です。対策を行わないままにしてしまうと、シロアリによって木材が食べられてしまったり腐ったりすると、耐震性にも影響します。一方で、鉄骨造の家であれば、シロアリ被害を心配する必要はありません。
このように、害虫による被害については、木造住宅のデメリットと言えるでしょう。ただし、木材の腐りは水分が入らなければ起こらないため軒をしっかり出すなど、設計と施工に注意する事で防ぐことができますし、施工会社によっては引き渡し後も一定期間にわたってシロアリ検査や薬剤散布などを行ってくれる場合があるので、一度施工業者に相談してみてください。
また、防蟻性に優れている木材は、耐朽性が高く腐朽しにくい傾向があります。
耐朽性の高い木材としては「ヒノキ」「ヒバ」「スギの赤身」などが挙げられそれぞれ金額も高くなりがちですが、樹齢の高い材ほど耐久性が高くなります。
木造住宅のメリット5つ
木造住宅のデメリットを見てきましたが、木造住宅は十分にそれを上回るメリットが多いのでご紹介します。
• 建築費用が安い
• リフォームしやすい
• 夏が過ごしやすい
• 調湿効果がある(表面に木構造や木仕上げがある場合)
• リラックス効果や仕事や勉強効率の高さ(表面に木構造や木仕上げがある場合)
このように主なものでも、5つのメリットがあるので、デメリット部分をしっかり対策すれば、ストレスのない理想の住宅にできます。以下では、それぞれのメリットは下記のページで詳しく解説しているのでぜひそちらも併せてお読み頂ければと思います。
参考: 木の家は建てやすく、暮らしやすい。木造住宅の特徴とは?マイホームを木造住宅で建てるメリットを改めて解説します。
• 建築費用が安い
• リフォームしやすい
• 夏が過ごしやすい
• 調湿効果がある(表面に木構造や木仕上げがある場合)
• リラックス効果や仕事や勉強効率の高さ(表面に木構造や木仕上げがある場合)
このように主なものでも、5つのメリットがあるので、デメリット部分をしっかり対策すれば、ストレスのない理想の住宅にできます。以下では、それぞれのメリットは下記のページで詳しく解説しているのでぜひそちらも併せてお読み頂ければと思います。
参考: 木の家は建てやすく、暮らしやすい。木造住宅の特徴とは?マイホームを木造住宅で建てるメリットを改めて解説します。
木造住宅と鉄骨造を比較
木造住宅にも鉄骨住宅にも、それぞれメリット・デメリットがあります。以下では、それぞれを比較して見ていきましょう。
5つの比較ポイントを、以下の表にまとめました。
全体的に、木造住宅の方がメリットは多いです。なぜ上記の結果になるのか、それぞれのポイントについて、以下で解説していきます。
• 木造住宅の坪単価相場…40~70万円
• 鉄骨住宅の坪単価…50~100万円
鉄骨造りは木造と比べて、素材自体の費用が高いです。また、鉄骨造は重量があるため、基礎や地盤補強にもコストがかかってしまいます。
そのため、費用を抑えられる点では、木造住宅の方が優れていると言えるでしょう。
鉄筋コンクリートと木造住宅の耐用年数を比べると、20年以上もの差が生じます。しかし、法定耐用年数というのは、寿命ではありません。税金を計算する「減価償却資産」として取り扱える期間です。
また、国土交通省の資料「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」では、木造住宅の法定耐用年数について、以下のように記載されています。
• フラット35基準程度で50~60年
• 劣化対策等級3程度で75~90年
• 長期優良住宅認定基準で100年超
実際の寿命においては、メンテナンス次第ではあるものの、平均寿命60年ほどと言われているので、木造住宅の方が鉄骨よりも劣っているということではありません。
木材の場合は、湿気などによるカビや腐り、害虫対策、鉄骨の場合は錆び対策を行っておきましょう。
ただし、木造住宅の場合は、木材自体の耐朽、防蟻効果の高い木材を使用すれば、ある程度丈夫なまま保てます。一方で鉄骨は、結露が発生することで錆びやすくなるので、小まめなメンテナンスが必要です。
いずれにおいても壁量計算で耐震性や構造強度をもとめますが、計算は計算でしかないため、力の流れを考慮して平面計画をすることや、施工を間違いなくすることが大切です。
台風のような強風への安全性については、木造も鉄骨も同じ程度で、どちらも優れています。従来、木造は台風に弱く、鉄骨造は台風に強いイメージでしたが、昨今の木造住宅は頑丈になっており、台風の多い沖縄でも木造住宅が増えてきている傾向です。
5つの比較ポイントを、以下の表にまとめました。
比較ポイント | 木造 | 鉄骨造 |
---|---|---|
建築コスト | 安い | 高い |
耐用年数 | 法定耐用年数22年 | 法定耐用年数47年 (鉄筋コンクリ―ト造) |
老朽化 | 〇 | 〇 |
耐震性 | ◎ | ◎ |
災害時の安全性 | ◎ | ◎ |
全体的に、木造住宅の方がメリットは多いです。なぜ上記の結果になるのか、それぞれのポイントについて、以下で解説していきます。
建築コストは木造住宅の方が安い
先述しているように、木造住宅は建築コストが安いです。価格相場で比べてみると、以下のようになります。• 木造住宅の坪単価相場…40~70万円
• 鉄骨住宅の坪単価…50~100万円
鉄骨造りは木造と比べて、素材自体の費用が高いです。また、鉄骨造は重量があるため、基礎や地盤補強にもコストがかかってしまいます。
そのため、費用を抑えられる点では、木造住宅の方が優れていると言えるでしょう。
耐用年数は鉄骨造の方が長い
耐用年数に関しては、鉄骨造の方が長く設定されています。法定耐用年数で比べると、以下のとおりです。構造 | 法定耐用年数(2022年時点) |
---|---|
木造住宅 | 22年 |
軽量鉄骨プレハブ造 (骨格材肉厚3mm以下) |
19年 |
軽量鉄骨プレハブ造 (骨格材肉厚3mm超4mm以下) |
27年 |
重量鉄骨造 | 34年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
鉄筋コンクリートと木造住宅の耐用年数を比べると、20年以上もの差が生じます。しかし、法定耐用年数というのは、寿命ではありません。税金を計算する「減価償却資産」として取り扱える期間です。
また、国土交通省の資料「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」では、木造住宅の法定耐用年数について、以下のように記載されています。
• フラット35基準程度で50~60年
• 劣化対策等級3程度で75~90年
• 長期優良住宅認定基準で100年超
実際の寿命においては、メンテナンス次第ではあるものの、平均寿命60年ほどと言われているので、木造住宅の方が鉄骨よりも劣っているということではありません。
老朽化
老朽化については、木造住宅も鉄骨住宅も、どちらが優れているとは言えません。どちらの場合も、きちんとした設計と施工、日々のメンテナンスを行っておけば、老朽化を遅らせられます。木材の場合は、湿気などによるカビや腐り、害虫対策、鉄骨の場合は錆び対策を行っておきましょう。
ただし、木造住宅の場合は、木材自体の耐朽、防蟻効果の高い木材を使用すれば、ある程度丈夫なまま保てます。一方で鉄骨は、結露が発生することで錆びやすくなるので、小まめなメンテナンスが必要です。
耐震性
耐震性については、どちらの方が優れているとは言えません。地震の揺れは、重量に比例しますが、鉄骨は構造計算されているために、揺れにくい設計になっています。木材については、揺れを逃がす特徴があるため、揺れを感じにくいです。いずれにおいても壁量計算で耐震性や構造強度をもとめますが、計算は計算でしかないため、力の流れを考慮して平面計画をすることや、施工を間違いなくすることが大切です。
災害時の安全性
鉄は熱伝導率が高く、また、鉄骨は重量があるため地震動の影響を受けやすいとも言えます。台風のような強風への安全性については、木造も鉄骨も同じ程度で、どちらも優れています。従来、木造は台風に弱く、鉄骨造は台風に強いイメージでしたが、昨今の木造住宅は頑丈になっており、台風の多い沖縄でも木造住宅が増えてきている傾向です。
木造住宅はメリットの多い構造
木造住宅は、メリットの多い構造です。どの工法でも、防音や耐久性、耐震性は費用をかければ向上できますが、木造はもともと構造の費用が抑えられるため、限られた予算でも、質を確保しやすいのです。昨今の木造はとても丈夫な構造が可能になっているため、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比べても遜色ないのが実情です。
高温多湿で雨が多い風土で、古来より木の家に住んできた私たちにとって、その知恵が伝承された快適な住まいであることは間違いありません。木造住宅のデメリットを理解したうえで対策し、理想の木のある暮らしを手に入れましょう。
高温多湿で雨が多い風土で、古来より木の家に住んできた私たちにとって、その知恵が伝承された快適な住まいであることは間違いありません。木造住宅のデメリットを理解したうえで対策し、理想の木のある暮らしを手に入れましょう。
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