ウッドフェンスが保育園の抱える悩みを解消。地域との関係も一歩前進大阪府の北摂豊能地域に位置する、箕面市。大阪都市圏のベッドタウンとして栄えて来ました。阪急箕面駅から徒歩10分程の静かな住宅地に箕面保育園があります。昨年9月にウッドフェンスが完成した施主の箕面保育園・園長辻様と施工会社の港製器工業株式会社・メタル事業部清永雅嗣氏にお話を伺いました。 目次 保育園の金網フェンスをウッドフェンスにリニューアル防災の観点から開発されたウッドフェンスの意外な機能フェンスを支える土台を基礎から再生した修繕工事目隠しプラス音の悩みを解決!地域に愛される保育園を目指して他のスーパーフェンス事例
保育園の金網フェンスをウッドフェンスにリニューアル 地域の景観を損なわない天然木のウッドフェンス 大阪府内に多数の保育園を運営する社会福祉法人あおば福祉会。民営化10年を迎える箕面保育園では、以前から子供たちのプライバシー保護や活動音へのクレームについて悩みがありました。今回、施主を代表して園長の辻様に木塀を導入した経緯を伺いました。 「フェンスが建つ前は、子供たちが利用するシャワールームが外からまる見えだったため、保護者の方々が心配されていました。一時措置としてビニールシートを金網に貼って対応していましたが透けて見えるため、問題解決にはなっていませんでした。系列の保育園がウッドフェンスを取り入れたと聞いて、施工会社の清永さんに相談しました。後日、目隠しだけではなく、音の悩みも解消できるかも知れないとのお話を伺って、ぜひにとお願いしました」。 様々な素材の塀がある中で木製を選ばれた辻様。素材として木への不安はなかったのでしょうか? 「最初は不安でした。年月が経つと古くなって腐ったり、壊れたりするのでは?との疑問がありました。清永さんがフェンスの強度や耐久性、防音性能などを丁寧に説明してくださり、ウッドフェンスの導入を決めました。前々から子供たちが生活する場所なので少しでも環境をよくしたいと思っていました。木は温かみがあるので、園の雰囲気に合っていると思います」。 箕面保育園 園長 辻陽子様 ウッドフェンス正面
防災の観点から開発されたウッドフェンスの意外な機能 園内の様子。既設の金網は防犯上残されている 目隠しだけでなく、保育園の騒音問題を解決する手助けとして防音壁の機能を果たすウッドフェンス。エクステリア製造メーカーとして創業65年の歴史を持つ港製器工業株式会社の清永氏に、府内の保育園では今回が3ヶ所目となる箕面保育園のウッドフェンス工事とその使用材について詳しくお聞きしました。 「阪神淡路大震災時に多くのブロック塀が倒壊しました。それを機に弊社では防災の観点からブロック塀の代替塀として間伐材を利用したウッドフェンス、スーパーフェンスを開発してきました。その木材の防音効果により、まさか騒音問題で悩まれている保育園の力になれるとは開発当初は思っていませんでした」。 木製の塀に使用した木材は、「今回施工したのは、スーパーフェンス アルファという木塀になります。地震や台風に対応していまして、耐風圧は38m/s。板材には、東京都多摩地域のヒノキ材を選びました。ヒノキは色ツヤが良く、油分が多く含まれるため、外構には最適だと思います。 使用材には、防腐・防蟻性能を有する薬液ACQを加圧注入したAQ1種材(JAS性能区分K4相当)を採用しました。また、塀によって園内空間が閉鎖的にならないように明かり取りとしてポリカーボネート板をフェンス上部に設置しました」。 港製器工業株式会社 メタル事業部 清永雅嗣氏 ポリカーボネート板があるため圧迫感のないフェンス
フェンスを支える土台を基礎から再生した修繕工事 既設の土台を新設したフェンスの土台部分 フェンスを建てる前に基礎をつくり替える工事が苦労したと話す清永氏。確かに古い基礎は除かれ、新設したように見受けられます。その実際と施工の難しさをプロジェクトリーダーである清永氏に語って頂きました。 「設計に入る前に現況を調べるため調査した所、既設の基礎がボロボロで今にも崩れ落ちそうな状態でした。これではせっかく塀を建てても倒壊する可能性がありますので、土台となる基礎からつくり替える事にしました。脆くなっている既設基礎を撤去して、型枠を組んでコンクリート打設しました。天候に左右される作業のため、この工事に1カ月以上は掛かりました」。 フェンスが途中で止まり、園の周囲を囲んでいないように見えますが、こちらは何か特別な理由があったのでしょうか? 「近隣の方には園児の発する音を何とかしてほしいとの声以外に、園児が遊ぶ様子を楽しみにされている方もおられました。確かに園の周囲を囲うと防犯の面では良いのですが、園の中と外で挨拶するなどのコミュニケーションを取る機会が減り、閉鎖的になってしまいます。施工業者としては囲いたかったのですが、園と地域との関係があるために断念しました」。 しっかりとした土台作りだけでなく、外構工事に欠かせないのは近隣住民との調整。音の問題だけでなく、地域に住む方の様々なご意見に耳を傾けながら答えを出す施工業者ならではの配慮する様子がうかがえました。 フェンスを途中で止めることにより地域の方とのコミュニケーションは継続 フェンスが屋根まで伸びているため音漏れが少ない設計
目隠しプラス音の悩みを解決!地域に愛される保育園を目指して 昨年12月中旬にウッドフェンスが完成した箕面保育園。施主の辻様は、「最初見た印象は結構な高さがあるなと感じました。これによって園児のプライバシーが守られますので、安心しました。音に関しては園内にいると実感は湧きませんが、データに表れていますし、実際にクレームもなくなりましたので大変ありがたいです。今後は地域の方々と交流しながら、愛される園を目指したいと思っています」と喜ばれていました。 施工を担当した清永氏は、「今回のウッドフェンスを建てた効果は、施工前と後で15db(デシベル)下げることに成功しました。今後も保育園に限らず、騒音問題で悩まれている学校施設の力になれれば幸いです。木塀のメンテナンスは弊社が独自開発した、複数の天然木材・種子から抽出し、その木材の持つ特性を利用したメンテナンスオイル【RECOVERY】の塗布を推奨しています。気象条件・設置条件等により効果は変わりますが、2~3年に2~3回程度ハンドクリームのように塗布して頂ければと思っています」。 歩行者の視線や近隣住民からの音に対するクレームを抱えていた箕面保育園。天然木のウッドフェンスが保育園の悩みを見事に解消しました。これからは近隣住民の方々と連携し、地域から愛される保育園を目指します。
他のスーパーフェンス事例 近隣の街並み景観に合わせ、園児の活動による騒音を20db(デシベル)下げることを目的に建てられた「あけぼの風の森保育園」のウッドフェンス。施工後に行われた計測によると20db以上下げることに成功しています。
箕面保育園(大阪府箕面市) http://www.minohhoikuen.net/ 港製器工業株式会社(大阪府高槻市) https://super-fence.com/ ※人物写真は、撮影時のみマスクを外して撮影しています。
Story 建物自体が木造建築と三重県産材の教材となる林業・木材業界の人材を育成する「みえ森林・林業アカデミー」棟 床面をDLTデッキにした朝霞たちばな幼稚園の大型木製遊具と木の塀万全の腐朽対策を施しパネル化により工期も短縮 既存建築物への外構・外装木質化を実証実験外壁木質化工法や耐候性、人々の心理などを幅広く検証 宮崎杉大径木の黒心材の新しい用途を提案・検証する「ひむかブラックシダープロジェクト」 おすすめ記事 はじめてのウッドフェンス&ウッドデッキのメンテナンス 木を使うことで、日本の自然と社会が豊かになる。子供たちへのメッセージ カテゴリー SDGs エクステリア 木の家 木の街づくり タグ ウッドデッキ ウッドフェンス オフィスビル グランピング 開発秘話 学校・保育園 古民家 公園 公共スペース 雑誌掲載 対談 木の家具 木の雑貨 木の中高層建築物 木造住宅 遊具 エリア 北海道・東北地方 関東地方 中部地方 近畿地方 中国地方 四国地方 九州地方