美しい景色をつくる木の塀とウッドデッキ。

中からも外からも美しい木の塀と、日常に心地よさをもたらす縁側のようなウッドデッキ。
都会暮らしを快適にする知恵が詰まった木の家です。
カーサ ブルータス
2019年9月号
WOOD FENCE & GOOD HOUSE
August 9, 2019 | photo_Junpei Kato text_Masae Wako

正面には国産杉の塀

正面には国産杉の塀
ダイナミックな石敷きのアプローチを進むと、樹齢60年の大木を囲む緑の庭と縁側のようなウッドデッキが現れる。正面には国産杉の塀。

世田谷で造園業を営む矢藤昭憲さんの住まいは、都心とは思えないほど豊かな自然に囲まれている。

写真:左の塀は杉板の型枠コンクリート、右は黒く塗装したガルバリウム鋼板とレッドシダーを合わせた造園用の倉庫棟。

「母屋は木造2階建て。勾配のついた大屋根と、庭に張り出す大きな軒をつくり、その下をリビングとウッドデッキにしています」

2歳の次男が力いっぱい走り回るウッドデッキは、コンクリート基礎の上に国産杉を積み重ねたもの。経年によって木の味わいが増すのも楽しみだし、年1回メンテナンスをするだけで温かな質感も心地よさもキープできる。

また、リビングのテーブルを掘りごたつ式にしたり、床に段差をつけて気軽に腰掛けられるようにしているのも特徴。重心を低く暮らすことで、気持ちも落ち着くし、木に直接触れる機会も多くなる。
ダイニングキッチン。縦格子の引き戸は収納。ダイニングキッチン。縦格子の引き戸は収納。
浴室の壁には沼津の間伐材を貼った。浴室の壁には沼津の間伐材を貼った。
いっぽう、木の力強さに圧倒されるのが、沼津の山林で採れる間伐材を貼った廊下や浴室の壁だ。

「今は、戦後に植樹された木が成長し、使い切れていない状態。国産材を積極的に使うことが自然のサイクルを守ることにもつながります。それに、天然の木はやっぱりカッコいい。木ならではの大胆な景色をつくりたくて、大工の棟梁に無理を聞いてもらいました」

 と話す矢藤さん。設計や施工に関しては、設計士、工務店の棟梁、矢藤さんの3人でチームを組み、知恵を出し合いながら完成させた。
 	廊下にも間伐材を採用。「普通は使わないあばれのある木材を、棟梁の職人技でうまく収めてもらった」と矢藤さん。 廊下にも間伐材を採用。「普通は使わないあばれのある木材を、棟梁の職人技でうまく収めてもらった」と矢藤さん。

「木の風合いを生かしつつモダンに見せるため、この家のテーマを“木と黒と鉄”に決めたのですが、それを室内だけでなく庭や塀にも踏襲できたのがよかったですね」

庭から母屋を見る。スダジイの大木を囲むウッドデッキは保護剤を塗布した国産杉。庭から母屋を見る。スダジイの大木を囲むウッドデッキは保護剤を塗布した国産杉。
たとえば庭を囲む木の塀は、ブロックの両面に国産杉板を貼り付けた仕様。庭側は木の色を生かしているが、街に向けた外側は黒く塗装した。近隣から眺めると、母屋の壁と木の塀の対比が美しい。

母屋の構造体は国産ヒノキの四寸角で、リビングの天井には不燃材を使用。暖炉の設置も可能。

「建築とエクステリアは一緒に考えたほうがいい家になる。コストダウンにもつながるしリノベーションもしやすい。美しい街の景観をつくることにもなると思います」
作庭家の住まい。
設計:クラフト・笹谷尚雄、外構・造園:矢藤昭憲、施工:平成建設、外構・造園:矢藤園●所在地/東京都世田谷区●用途/住居+アトリエ●構造/木造●規模/地上2階●設計期間/2015年12月~2017年10月●施工期間/2017年11月~2018年10月●敷地面積/774.84㎡●建築面積(母屋)/114.20㎡●延べ床面積(母屋)/196.40㎡

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