木をふんだんに使った住まいを彩るウッドフェンスが、住まう家族を守る鹿児島市の南部にあたる小松原地区は永田川の下流域に位置し、鹿児島市の沿岸部に造成された鹿児島臨海工業地帯にあります。企業や工場が立ち並ぶエリアにある住宅地に2023年10月、新築の住居が誕生しました。ご自宅の建て替えのタイミングで、ブロック塀からウッドフェンスにリフォームされた施主の濵田様と施工会社の株式会社建築工房 匠・代表取締役福迫健氏にウッドフェンス工事についてお話を伺いました。 目次 和を感じさせる日本家屋を包むウッドフェンス縦格子が産んだ洗練された和のデザイン倒壊の危険を回避したウッドフェンスの土台部分ウッドフェンスで不安を解消!次はウッドデッキを作りたい
和を感じさせる日本家屋を包むウッドフェンス 和風建築にマッチする木製ルーバーでつくられた木の塀 鹿児島市電1系統・上塩屋駅から徒歩5分ほど歩いた住宅地に和を感じさせる木のルーバーが目を引く住まいがあります。こちらが濵田邸です。完成したのは2023年10月。その1年2ヶ月前に施工会社を決定し、建築計画を進めたそうです。木塀を取り入れた経緯を施主の濵田様に伺いました。 「家を建てるに当たって、ハウスメーカーやモデルハウスをいくつか回りました。雑誌に建築工房 匠さんが載っており、木を効果的に使った素敵なお家をつくられていたのでお願いしました。建築計画が進み、外構を思案していた所、施工会社の福迫さんからアルミフェンスを提案されました。外構にも自然素材を使いたいと考えてたので、竹などでつくれませんか?と相談し、最終的に天然木を使ったウッドフェンスを設置することにしました」。 外構は雨風の影響を直接受ける場所。木を使う事に不安や抵抗はなかったのでしょうか? 「元々実家が木造だったため、昔から慣れ親しんだ素材でした。1人暮らしで木造以外の住宅に住んだ経験はありますが、冷たい感じがしました。長年暮らすなら木の家の方が落ち着きますね。木の家を建てたいと思っていたので、外構に木を使うことに抵抗はなかったですね」。 内外装問わず、積極的に木を配した家を建てられた濵田様。木の魅力については、「木は使って行くうちに味が出て来ます。古くなればなるほど色が変化するの所がいいですね。年を重ねるごとに変わって行く点と見た目に温かみがあるのが魅力ですね。木目の模様も好きです」。 株式会社建築工房 匠・代表取締役福迫健氏 駐車スペースを囲うウッドフェンス
縦格子が産んだ洗練された和のデザイン 庭の塀も建築と同様に縦格子を採用 鹿児島市内で新築からリフォーム、不動産売買までを一手に担う株式会社建築工房 匠。代表取締役の福迫健氏にウッドフェンス工事の詳細を語って頂きました。 「フェンスには鹿児島県産のスギを採用しました。やはり地元の木がいいですね。特徴としては、秋田方面の木に比べて目は詰まっていませんが、船底にも使われる材料で水に強く、粘りがあります。フェンスに使用した木材は、全て防腐処理剤ACQを加圧注入したJAS性能区分K4相当の材を使っています。保護塗料はキシラデコール。現場で2回塗りました」。 外構工事でこだわったポイントは家のデザインに合わせ、縦格子で統一した所と話す福迫氏。「縦格子には木目がスッキリ見える上小無地(じょうこむじ)の柾目(まさめ)を仕入れ、その中でも節の少ない物を選別しました。施工の際、一番大変だった作業は正面から釘が見えないようにする事でした。裏からビス留めしていますが、見えないようにするために手間が通常の3倍くらい掛かりました」。 プライバシー保護の観点から板の隙間を15ミリに設定
倒壊の危険を回避したウッドフェンスの土台部分 既設のブロックを低くして木製の塀は目隠しの役割を果たしている 今回のウッドフェンス工事の中でも土台に気を遣ったと話す福迫氏。実際、土台部分は古いブロックが撤去され、新たにブロックを設置したように見えます。その施工を行った意図を一級建築士である福迫氏に伺いました。 「2018年に起きた大阪北部地震によるブロック塀倒壊事故以降、ブロック塀の危険性について考えていました。ブロックを高く積む事で生じる倒壊リスクを排除するため、必要な部分は残して既設の危険箇所は撤去しました。ブロック塀を低くし、ウッドフェンスは重量的にも軽いため倒壊の危険性は減りました。ウッドフェンスに変えた事でより安全になり、目隠しの役割も果たしています」。 土台に頑丈そうな鋼板が差し込まれていますが、こちらは補強のためでしょうか? 「土台にはコンクリート製の基礎ブロックのセンターに穴が空いている物を用意しました。その穴に亜鉛メッキ加工された鋼板を差し込み、セメントで埋めて柱の支えとして補強しています。支柱の間隔はブロック塀の鉄筋が入る800ミリ間隔に設定しました。地際は浮かせて、雨仕舞いしています。空間を空けることで支柱が地面と離れ、雨水が流れていくため木が腐りにくい設計としました」。 支柱を亜鉛メッキ加工された鋼板で補強 コンクリート基礎部分
ウッドフェンスで不安を解消!次はウッドデッキを作りたい 地震による倒壊のリスクに配慮したウッドフェンス。完成した塀を前にした濵田様は、「やはり本物の木はアルミとは見た目、視覚的に違いますね。地震が心配でしたが、高く積まれたブロック塀が持つ危険性についてもウッドフェンスを提案して頂き、大変感謝しています。今後は庭にウッドデッキをつくりたいと思っています。庭でキャンプしたり、ご飯が食べられるスペースにしたいですね」。 福迫氏は、「この木塀はブロック塀に比べて軽量ですが頑丈につくっています。メンテナンスについては、施主様が経年変化を楽しまれていますので気になった時に再塗装をして頂ければと思います。再度塗装することで塀の耐久性も上がり、長持ちします」と今後のメンテナンスについて話されました。 自然素材を好まれる施主の想いを叶えたウッドフェンス。住まう家族が安心して過ごせる役割も担っています。
Story 外構・外装木質化による新たな木材利用の可能性 地場産スギ材でつなぐ、家族の思いと地域林業の未来 長野県産スギ材で建てた、住み心地のいい木造住宅 鹿児島県産材をふんだんに使った木造施設で地域の未来の生き方を切り拓く小浜ビレッジ おすすめ記事 はじめてのウッドフェンス&ウッドデッキのメンテナンス 木を使うことで、日本の自然と社会が豊かになる。子供たちへのメッセージ カテゴリー SDGs エクステリア 木の家 木の街づくり タグ ウッドデッキ ウッドフェンス オフィスビル グランピング 開発秘話 学校・保育園 古民家 公園 公共スペース 雑誌掲載 対談 木の家具 木の雑貨 木の中高層建築物 木造住宅 遊具 JAS構造材 エリア 全国 北海道・東北地方 関東地方 中部地方 近畿地方 中国地方 四国地方 九州地方