仕事仲間と建てたウッドフェンスはコラボレーション作品!宮城県仙台市北部に位置する泉区は、泉ケ岳の麓に東西に広がる自然に恵まれた地域です。市営地下鉄南北線泉中央駅から車で15分程の田園風景が広がる農業地帯に佐々木邸があります。昨年9月にウッドフェンスが完成した施主の佐々木様と施工会社の有限会社コスモ損害調査・専務取締役千葉竜太朗氏にお話を伺いました。 目次 田園風景に溶け込む籠のように天然木が編まれたウッドフェンス施主が試作した塀を形にした外構の匠による本物の技術木塀を支えるメタリックとシャープなコンクリート土台施主の不安をウッドフェンスが解決!仲間との協働が生活を豊かにする
田園風景に溶け込む籠のように天然木が編まれたウッドフェンス 田圃のある風景に和テイストのウッドフェンスが馴染む 施主の佐々木様は5年前、住宅の設計施工を行う工務店勤務時代にご自宅を自社で建てたそうです。現在は独立して2年。住宅リフォームや内装業を個人でされています。今回、木塀を導入した経緯を伺いました。 「家が建った後に塀を和風テイストにしたいと思い、調べていた所、板を編む施工方法を見つけました。自分で試作の塀をつくって実験していましたがうまく行かず、頓挫していました。施工会社の千葉さんとは昔から仕事をお願いしたり、されたりという関係でよく集まっては仕事の話をする仲で、自宅の外構工事全般をお願いしていましたのでフェンスの施工もお願いしました」。 塀は木製にしたかったという佐々木様。木を積極的に採用した理由を問うと、「自分自身が大工であり、木造建築の仕事をしているため、それを象徴する木を選びました。素材として木が好きで、自宅の内装にも木をたくさん使っています。木の持つ風合いを活かした塀にしたいと思っていました。腐れに関しては、柱が木だと腐りますが亜鉛メッキは頑丈で50年持つと言われている素材なので安心しています」。 施主 佐々木貴之様 以前に佐々木様が制作した試作のウッドフェンス
施主が試作した塀を形にした外構の匠による本物の技術 隙間をつくることでウッドフェンスが風を和らげる 仙台に本社を持つ、創業40年の有限会社コスモ損害調査。保険会社から依頼を受け、物損事故現場の修復を主に行っています。工事部署のトップで、今回の現場で陣頭指揮を執った千葉氏にウッドフェンスの施工について語って頂きました。 「佐々木さんの試作の塀を初めて見た時は驚きました。板を曲げるという施工は自分でも経験がなく、斬新だなと思いましたが実際つくるとなると大変でした。板厚は22mm。割れずに曲げられるギリギリの厚みです。使用した木材は、宮城の栗駒産材ですね。木材を燻煙乾燥することにより、木の繊維質を破損させることなく強度を高め、煙によって防虫処理も行っています。昔から家を建てるなら、地元の木を使うと家は長持ちすると言われていますので、それに倣って宮城の木にしました。無垢材を使用しているため、木材専用の防腐効果のある保護塗料を塗装しました」。 設計段階から難しい工事が予測されていたと思うのですが、実際の施工で苦心した点を伺うと、「ウッドフェンスの1ブロックは3.6mあります。木板を編んだ状態で支柱に上から差し込むのですが、曲げた木がもとに戻ろうとする力が強くて、それを抑えることに苦労しました」。 有限会社コスモ損害調査 専務取締役 千葉竜太朗氏 木板を編んだパーツのジョイント(接合)部分
木塀を支えるメタリックとシャープなコンクリート土台 支柱と控え材のメタリックが木塀をモダンに演出 広々とした敷地を包むウッドフェンスを支える支柱や土台。こちらでは非常に強固で頑丈なつくりにしている印象を受けました。その理由を土木・建築両方の施工管理技士の資格を持つ千葉氏にお聞きしました。 「この地域は冬の時期、山形の方から強い風が吹きつけます。施主様からこれを何とかしたいとの要望がありました。板を編むことで隙間を生み、風を和らげることに成功しましたがそれだけではまだ完全ではありません。よりフェンスを強固にするため、900mmピッチ(間隔)で亜鉛メッキの支柱を入れました。それより広げるともう少し厚い板も使えたのですが、強度を高めるためにこのようにしました。さらに、3600mmピッチで同じ鋼材の控え材を斜めに入れ、補強しました。土台は型枠を組んでコンクリート打設。ブロックより強度があり、見た目もきれいですね。コスト面も考えて、支柱と控えの鋼材は端材が出ないように計算し、6mものをカットして使用しました」。 外構工事においてフェンスをしっかりと支える支柱や土台は、とても重要な役割を果たしています、一見目立たない存在ですが、そこには外構のプロによる強度計算されたデータと想いが込められていました。 コンクリート打設された土台部分
施主の不安をウッドフェンスが解決!仲間との協働が生活を豊かにする ウッドフェンスが完成して佐々木様に感想を伺うと、「想像した以上にいいものが出来て満足しています。時間帯によって光の陰影が変化することに気づいて驚きました。今後は屋根をつくり、雨が降っても作業できるスペースと庭に木造の離れを建てたいと思っています。今は家で打ち合わせをしていますが、お客さんを呼べる事務所を千葉さんとつくりたいですね」と今後の展望を語られていました。 千葉氏は、「このフェンスは15年は持つと思います。木板が破損しない限りは、メンテナンスは保護塗料を2年に1度のペースで塗ると良いと思います。今後も佐々木さんと相談しながら一緒に外構や離れなどをつくって行きたいと思っています」。 広い敷地を囲むウッドフェンスが建った佐々木邸。施主の希望した和風のウッドフェンスが強風の不安を解消しました。フェンスが映える庭に今後も新たなコラボレーション作品が生み出されます。 自宅兼事務所の佐々木邸
Story 建物自体が木造建築と三重県産材の教材となる林業・木材業界の人材を育成する「みえ森林・林業アカデミー」棟 床面をDLTデッキにした朝霞たちばな幼稚園の大型木製遊具と木の塀万全の腐朽対策を施しパネル化により工期も短縮 既存建築物への外構・外装木質化を実証実験外壁木質化工法や耐候性、人々の心理などを幅広く検証 宮崎杉大径木の黒心材の新しい用途を提案・検証する「ひむかブラックシダープロジェクト」 おすすめ記事 はじめてのウッドフェンス&ウッドデッキのメンテナンス 木を使うことで、日本の自然と社会が豊かになる。子供たちへのメッセージ カテゴリー SDGs エクステリア 木の家 木の街づくり タグ ウッドデッキ ウッドフェンス オフィスビル グランピング 開発秘話 学校・保育園 古民家 公園 公共スペース 雑誌掲載 対談 木の家具 木の雑貨 木の中高層建築物 木造住宅 遊具 エリア 北海道・東北地方 関東地方 中部地方 近畿地方 中国地方 四国地方 九州地方