学校の新たなイメージを創出した、温かみのある天然木のウッドフェンス宮崎市の中で南西部に位置する田野町は、国内有数の加工用干し大根の産地として知られる農業が盛んな街。JR田野駅から徒歩6分の所に宮崎医療管理専門学校があります。昨年12月、学校にウッドフェンスを新設された施主の宮崎医療管理専門学校・事務長黒木啓史郎様と施工会社の合同会社あしなが開発・代表一枝優次氏にウッドフェンスについてお話を伺いました。 目次 学び舎を彩るウッドフェンス学校の塀を地元宮崎の木でつくりたい!温もりの感じられる地域に馴染むカラーリング安全面プラス学校のイメージが変わった!
学び舎を彩るウッドフェンス ウッドフェンスを導入して、学校が明るい雰囲気になった。 田園風景に自然と溶け込んだ木の風合いが素敵なウッドフェンス。こちらは、今年で創立40年を迎える宮崎医療管理専門学校です。1983年に九州初の医療情報管理科を設置。以降、医療福祉現場で働く人材を輩出し続けています。今回、木塀を導入した経緯を事務長の黒木様に伺いました。 「学校が造成した平地の上に建てられていて、以前から外塀がない状況に危険を感じていました。町内の様々なイベントでご一緒する機会の多かったリフォーム事業を行っている施工会社の一枝さんに相談しました所、一枝さんから天然木のウッドフェンスを提案され、導入を決めました」。 木製の塀に対して、不安はなかったのでしょうか? 「塀だとブロックや金属のイメージがあり、木製とお聞きして最初は心配でした。一枝さんから使用する木材の強度やコンクリートの土台で補強するプランの説明を受け、安心しました。ウッドフェンスが学校を象徴してくれる気がして、完成が楽しみになりました」。 全長110mのウッドフェンス 宮崎医療管理専門学校・事務長黒木啓史郎様
学校の塀を地元宮崎の木でつくりたい! シンボルツリーとウッドフェンスが自然とマッチしている 田野町でレストラン事業からリフォームまで多岐に亘る事業を行ってきた、あしなが開発。障害者就労移行支援施設として障害者に働く場を提供しています。あしなが開発代表一枝氏に、ウッドフェンス工事の詳細を語って頂きました。 「せっかく使うなら地元の木を使いたいと思い、県産材の飫肥杉(おびすぎ)を選びました。粘りがあり、耐久性も優れているので、フェンスにぴったりだと思いました。今回使用した木材は、土台に防腐処理剤ACQを加圧注入したJAS性能区分K4相当の柱材。柱と留枠は、ACQを注入したK3材を採用しました」。 施工の際に一番大変だった作業を問うと、「宮崎は毎年台風が来ます。フェンスがしっかりしていても土台が弱いと飛ばされる可能性があります。既設の擁壁の上に強度を高めるため、土台となるブロックを設置。そこへコンクリートを流し込み、アンカーボルトで補強しました。全長110mありますから大変でした」と一枝氏は清々しい顔で話していました。 フェンスを支える土台部分 合同会社あしなが開発・代表一枝優次氏
温もりの感じられる地域に馴染むカラーリング 無垢材を包む保護塗料は、ヨーロッパの色合い。 校舎の外壁にマッチしたウッドフェンス。この自然な色合いは、単に学校のテーマカラーではなく、地域の景観を壊すことのないよう配慮されています。色選びも大切な作業。色次第で印象がガラリと変わります。色選びや色を検討する際にこだわったポイントを一枝氏に聞きました。 「学校の校舎の色に合う色味にしたいと思っていました。様々な塗料の色見本を現場の写真と合わせて、自社の設計士と議論を重ねました。フェンスを施工している同じ時期に別の現場でウッドフェンスの工事があり、そこへ黒木さんと校長先生を招き、実際の色を確認して頂きました。色は、ピニーと呼ばれる欧州アカマツ材の色です。色が決まると、日本建築学会材料規格「JASS18M-307」の木材保護塗料を2度塗りしました」。 施主の黒木さんも「フェンスのカラーは、何度か話し合いをして検討しました。生徒にも評判で、先日もフェンスの前で記念写真を撮っていました。明るい雰囲気になり、大変満足しています」と喜んでいました。 校舎の外壁の色に合わせたウッドフェンスのカラーは絶妙
安全面プラス学校のイメージが変わった! 転落の恐れがある危険な状態を回避したウッドフェンス。様変わりした学校の風景を見た黒木様に感想を求めると、「校舎は鉄筋コンクリート造のため、冷たい印象がありますが、木を取り入れる事によって、柔らかい、木の温もりを感じられる空間になりました。医療福祉の現場も人の温もりが大切です。ウッドフェンスがそれを表してくれています」。 一枝氏は、「台風が心配ですが、10年は大丈夫だと思います。樹木がせり出して塀を押し出そうとしていないか定期点検し、塀に触れるくらいまで伸びたら剪定するようお願いしています。当社としましては、1年毎に立ち寄り、安全面の問題はないか、防腐剤や塗料の再塗装の必要性がないかをチェックし、対策案についてアドバイスさせていただく予定でおります」と今後のメンテナンスについて話されました。 ウッドフェンスを取り入れたことにより、学生や学校職員の安全を守るだけでなく、学校に新たなイメージを付加できました。
合同会社 あしなが開発(宮崎県宮崎市) https://www.adsys.jp/ 学校法人 東洋学園 宮崎医療管理専門学校(宮崎県宮崎市) https://toyomc.jp/ ※人物写真は、撮影時のみマスクを外して撮影しています。
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