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- スポーツ鑑賞からコミュニケーションの場へ。安全なウッドデッキで、人と人を繋ぐ
スポーツ鑑賞からコミュニケーションの場へ。
安全なウッドデッキで、人と人を繋ぐ
愛知県尾張北東部地区にある瀬戸市は、瀬戸焼と呼ばれる陶磁器の生産地として全国的に知られています。市の南方にある丘陵地帯には、ゴルフ練習場やスポーツ施設、最近ではサバイバルゲーム場などが立ち並ぶレジャースポットがあり、テニスコート2面を有するテニスクラブには毎週末になると県内各所からレッスンのため多くの人が集まります。昨年の11月末、クラブ会員が快適にテニスを楽しめるよう広々としたウッドデッキスペースを新設。施工に携わった株式会社タイロンコーポレーション大阪支店・所長藏永定善氏とお使いになられているWiLL Tennis Academyジュニア統括マネージャー・寺本舞様にウッドデッキスペースについてお話をうかがいました。
テニスコートに隣接した会員のためのウッドデッキ
傾斜地の立つ天然木でつくったウッドデッキ
WiLL Tennis Academyジュニア統括マネージャー・寺本舞様は、テニスプレーヤーとして数々の賞に輝き、現在はジュニアのコーチとして活躍されています。ウッドデッキを採用したスペースを新設するに至った経緯を伺いました。
「以前はマネージャーが自作したウッドデッキをクラブハウスの前に設置し、受付場所として使っていました。人が4人くらい立つと一杯の狭いスペースで、いつか新しくしたいと思っていました。オーナーの知人の紹介で駐車場での土地活用、道路舗装工事や建築工事を事業とされているタイロンコーポレーションさんに相談しました」。
デッキをリニューアルする際に希望した事はありますかと伺うと、「毎週多くの会員が訪れるので、人が集まれる場所が欲しいなと思っていました。できれば自然の木を使って、なおかつ子供たちが安心して過ごせる安全なスペースをお願いしました」と寺本様は笑顔で答えていただきました。
デッキからストレスなくクラブハウスに出入りできる設計
利用する方のイメージに合ったスペースを実現したい!
デッキの階段スペースはベンチとして休憩や食事を摂ることができる人気スポット
愛知県名古屋市を拠点に舗装工事を主業とする株式会社タイロンコーポレーション。大阪支店所長の藏永定善氏は、建築工事に長けており、今回のウッドデッキ工事を担当されています。既設の狭いウッドデッキを多くの人が利用できるスペースにして欲しいとの期待に答えるべく、藏永氏は頭を悩ましたそうです。限られたスペースで、しかも場所はアスファルトを敷いた駐車場で斜度30度の傾斜地。希望される天然木の材料はどうするか?材を選ぶ際に最初に浮かんだのが、宮崎県産のスギ材だと藏永氏は言います。
「スギ材でも強くて有名な飫肥杉(おびすぎ)をルーツに持つ『みやざきスギ』は、油分を多く含み、虫がつきにくいのが特徴。水を弾き、軽量で弾力性に富むため、加工しやすいことからウッドデッキには最適な材料だと思いました」。
そのみやざきスギに防虫効果もある防腐剤ACQ2種を加圧注入した材で、性能区分と呼ばれる強度を表すランクはK3を選択。材料は宮崎からトラックで現場に直送することで無駄な輸送コストをカットしました。国産材を使うことでウッドショックをうまく回避した所も藏永氏の手腕が光ります。
テニスコートを見下ろす一番高いウッドデッキスペースからの眺め
安全を守るため、計算し尽くされた土台のデザイン
多くの人が集まる場所だけにより頑丈で安全なものにしたい。藏永氏は平米における耐荷重を想定し、束間のピッチ寸法を算出しました。これを誤ると床が割れ、崩落事故につながるため何度も確認したそうです。土台となるコンクリート基礎に105mm角で長さ4mある柱をカットして床束を200本建て、束をつなぐ大引と根太には85本。使用材は床板と同じ、みやざきスギにしました。床板を支える構造部に使うため、性能区分をK4にランクアップさせ、強固に仕上げました。
「床板を直交させて2枚貼ることで堅牢な土台に加えて、天面が強くなります。バーベキューや懇親会などたくさんの人が利用することを想定して構造計算しました。40人くらいの人が乗っても全然大丈夫ですよ」と藏永氏は自信を覗かせます。
さらに注目したいのは、施工期間。完成したウッドデッキの面積は、150㎡。これだけ大きいサイズの施工範囲を打ち合わせから計画、設計を約3ヶ月で済ませ、施工期間はたったの10日間で完了という手際の良さに驚かされました。ここに計算されたプロ集団の力を垣間見ました。
床板の裏側。2層貼りで板が直交しているのがわかる
ウッドデッキスペースを利用して様々なイベントを開催したい!
ウッドデッキが完成し、これから卒業イベントを開催する予定の寺本様。感想を伺うと「テニススクールに通う子たちは家族のような存在で、誕生会や卒業イベントなど年間を通してイベントを開くことが多いです。前は駐車場の一角で開いていましたが、今回このような素晴らしいスペースを作って頂きまして、大変感謝しています。利用した会員様の評判も上々です」。
寺本様のイメージを実現すべくデザインした藏永氏は、「自分たちの苦労が今の言葉で報われました。こちらこそありがとうと言いたいですね。これから先、何十年も持つよう頑丈につくっていますが、天然木のため、風雨に晒されるとどうしても傷みが出てしまいます。その際は床板を交換するか保護材を塗って頂くと長持ちしますので、何かありましたら遠慮なくご相談頂ければと思っています」。
安心して集まれる場所をつくりたいと願い、完成したウッドデッキはみんなの憩いの場となりました。この場所にこれからも多くの人が訪れ、様々なドラマが生まれることでしょう。