連休には2,300人もが訪れる、「木製アスレチック遊具」いっぱいの遊び場!!休日には多くの子どもたちで賑わう木製アスレチック遊具のある「サイボクの森」。埼玉種畜牧場の小川夏季様と、施工会社であるザイエンス千脇義一氏に話を聞きました。 目次 食と健康がテーマの施設に、木のぬくもりを感じられる木製遊具で更なる集客をたくさんの子どもたちが利用するアスレチック遊具木材を使いやすくし、寿命を伸ばす。いくつもの工夫熱くなったり冷たくなったりしない。人が触れるのに最適な木材
食と健康がテーマの施設に、木のぬくもりを感じられる木製遊具で更なる集客を 埼玉種畜牧場の小川様(右)と、ザイエンス千脇氏(左) 小川様: 「埼玉種畜牧場は「サイボク」の運営母体です。サイボクのコンセプトは、<食と健康をテーマにした文化観光スポット>。敷地内には豚肉の加工工場からミートショップ、またレストランやキッチン&カフェテリア、野菜直売所、さらには天然温泉といった複数の施設を有しています。 遊具のある『サイボクの森』もそのひとつ。もともとこの場所は、パークゴルフや陶芸体験ができる場所だったのですが、工場新設にあたって取り壊しに。その後、サイボクの方向性と照らし合わせ、子どもたちが安全に運動できる場所を目的として広場が生まれました。ここにあるアスレチック遊具やベンチは、すべて木製。小さなお子様から小学生まで、たくさんの方に利用いただいています」。 千脇氏: 「1922年に創業したザイエンスは、創業当初から一貫して木を使ったものづくりに関わり続けています。古くは鉄道の枕木や木製電柱に始まり、現在は住宅資材全般を製造しております。そして70年代からは景観資材も取り扱うようになり、商業施設から公園まで、木製施設を幅広く手がけてまいりました。 木の良さは、何よりも優しさやぬくもりです。アスレチック遊具には国産の杉材を使用しているのですが、サイボク様がテーマとする『健康』と、またそれに付随する『身体的体験』が、『木のぬくもりや優しさを活かし、快適でゆとりある環境づくりを支援する』という私たちの方向性に一致し、今回のご縁に至ったのだと感じています」。
たくさんの子どもたちが利用するアスレチック遊具 「サイボクの森」には、ワクワクするような遊具が広い敷地内に点在している 千脇氏: 「お話をいただいた当初は、現在のように10種のアスレチック遊具を点在させるのではなく、真ん中に大きな遊具を置こうと提案していました。しかし広くスペースを使い遊具を点在させた方が、子どもたちが走り回って遊べるのではないかとサイボク様からご意見をいただきました。そこで広大な天然芝に、アスレチック遊具と全長約350メートルの遊歩道沿いにベンチも置き、親御さんが見守る中で子どもたちが走り回って遊べる空間を作りました」。 小川様: 「実際、本当に楽しそうに多くの子どもたちが遊び回っています。現在では、土曜日には700から800人、日曜日には1,000人以上の方が訪れています。もちろん平日もたくさんの人がいらっしゃっています。連休になるとさらに増え、過去最高で約2,300人の来場者がありました」。 千脇氏: 「遊具の状態を見ても、たくさんの子どもたちに遊んでもらっていることがわかります。多くの人に楽しんでいただいているのだなと思いますね。今後は点検や塗装、メンテナンスもご提案し、みなさんに末永く安心して使っていただければと思います」。 塗装の状態から、子どもたちが遊びまわっている様子がうかがえる
木材を使いやすくし、寿命を伸ばす。いくつもの工夫 木の中心より外側にある芯去り材。子どもの怪我を防ぐ細かな工夫 千脇氏: 「今回、遊具を作るにあたってのこだわりは、『芯去り材』と『芯持ち材』を使い分けたことです。木の芯をはずして製材した「心去り材」。芯持ち材はその反対で、芯の部分を中心に製材したものを指しますが、子どもたちが触れる部分には芯去り材を使っています。 芯持ち材は使っているうちに芯に向かって割れが入ります。強度には影響はないのですが、割れにより発生するささくれに触って怪我をする可能性があります。そこで、ささくれが出にくい芯去り材を、子どもたちが握る箇所に使用しました。 また防腐処理も工夫のひとつ。無処理の杉材を屋外で使用すると3~5年で腐ってしまいますが、弊社の木材保存剤を注入することで寿命が約3~4倍になります。さらに撥水性のよい塗料を塗り木材の表面保護と見た目を明るくしました。今回はそれだけでなく、柱へもう一工夫しています。 木材が一番腐りやすいのは地面と接する柱の地際部です。 その部位を直接地面と接しないよう金物で補強しました。この方法なら、柱が劣化して交換が必要になった時でも、ボルトを抜けば柱1本から交換できます。 それに加えて、地際の次に腐朽しやすい柱の頭頂部には鉄板を取り付け、雨水が染み込まないよう保護しました。これら金物のカラーは赤としました。メープル色がメインの木材に、サイボクのイメージカラーである赤をアクセントに加えることで、サイボク全体との統一感を図っています」。 地面のキワ(地際)と頭頂部には、金物を設置し腐食を防ぐ
熱くなったり冷たくなったりしない。人が触れるのに最適な木材 大きな滑り台。ここから、広場内の景色を一望することができる 小川様: 「子どもたちは、アスレチック遊具にまったく飽きないのです。各遊具を何周もして楽しんでいる。男女問わず走り回っていて、とても嬉しく思います。 親御さんからも、綺麗な緑の中、木のぬくもりを感じながら遊べると支持されています。子どもが遊んでいる間に、芝生に寝転んだり、遊具の上に登ったりして、ゆっくり時間を過ごされている親御さんも見受けられます。 『サイボクの森』は有料なのですが、子どもが道路に飛び出してしまったり、不特定多数の人が出入りしたりすることがないので、かえって安心できるというお声もいただいています。パン工房やカフェテリアなどで購入した商品や、遊び道具を持ち込んで、ピクニック気分を味わうのも楽しいと思いますよ」。 千脇氏: 「木材は、鉄やコンクリートなどの人工の材料に比べて、夏は熱くならないし、冬は冷たくなりにくい材料です。このような素材って他にはありません。人が触って遊ぶには最適な素材だと思います。 もちろん腐ったり割れたりということもありますが、きちんとケアすれば素晴らしいものになります。これからも木材を使ったものづくりをし、子どもたちが木材を触って楽しく遊べる施設をつくりたいと思います」。 小川様: 「『サイボクの森』ができるまで、多くの来場者は買い物をしてそのまま帰られていました。滞在時間が短かったのです。しかし買い物だけじゃなく、ここで遊び、お腹が空いたら食事をして1日を過ごされる……というご家族が多くなりました。 ご家族みんなが緑を眺めてリラックスしたり、遊具で思いっきり遊んだりして、団欒のひとときを過ごせる場所を提供できればと思います」。 隣接する工場でつくられたサイボクの商品。ミートショップで購入できる
Story 建物自体が木造建築と三重県産材の教材となる林業・木材業界の人材を育成する「みえ森林・林業アカデミー」棟 床面をDLTデッキにした朝霞たちばな幼稚園の大型木製遊具と木の塀万全の腐朽対策を施しパネル化により工期も短縮 既存建築物への外構・外装木質化を実証実験外壁木質化工法や耐候性、人々の心理などを幅広く検証 宮崎杉大径木の黒心材の新しい用途を提案・検証する「ひむかブラックシダープロジェクト」 おすすめ記事 はじめてのウッドフェンス&ウッドデッキのメンテナンス 木を使うことで、日本の自然と社会が豊かになる。子供たちへのメッセージ カテゴリー SDGs エクステリア 木の家 木の街づくり タグ ウッドデッキ ウッドフェンス オフィスビル グランピング 開発秘話 学校・保育園 古民家 公園 公共スペース 雑誌掲載 対談 木の家具 木の雑貨 木の中高層建築物 木造住宅 遊具 エリア 北海道・東北地方 関東地方 中部地方 近畿地方 中国地方 四国地方 九州地方