木に魅了された施主とデザイナーが共同設計したウッドフェンス福岡市の西部に位置する西区は、海や山に囲まれた豊かな自然環境と都市の利便性を兼ね備えた地域。今回訪れた荒巻邸は農地が点在する穏やかな住宅地にあります。昨年、建築段階から計画されていました荒巻邸を取り囲むウッドフェンスが完成しました。施主の荒巻様と設計・施工を担った株式会社PLAM代表取締役原田達浩氏にウッドフェンス工事についてお話を伺いました。 目次 木材をふんだんに使った住まいを取り囲むウッドフェンス施主様と共同でウッドフェンスをデザイン恒久的な使用を想定されたウッドフェンスの設計スッキリとしたデザイン。木塀に見紛う隠し扉の制作念願のウッドフェンスが完成!エイジングが楽しめる自然素材の魅力
木材をふんだんに使った住まいを取り囲むウッドフェンス 公園や街の景観などの設計を行う環境デザインの仕事に携わり、木材や森林にも造詣が深い施主の荒巻様。サステナブルな視点から住宅の木造建築やウッドフェンス制作を構想していました。 「学生時代から日本の森林が抱える問題や国産材の抱える課題について研究を行って来ました。その流れで自宅をつくるなら木造で家を建て、それを囲む塀も木でつくり、循環型社会に少しでも貢献したいと以前より考えておりました」。 仕事柄、木を扱うことが多く、その性質にも詳しい荒巻様ですが、木材は風雨に晒されると腐る可能性があります。それについて不安はなかったのでしょうか? 「木材の不安としては一番大きなものは腐食。その対策として、木柱と基礎の接合箇所を金物にすることで将来支柱が劣化しても部分的に取り替えが可能な設計にしました。木は防腐処理を行ったり、使い方次第で耐久性を向上させられる事を以前から知っていましたので原田さんに相談して、塀の材料は木材でいこうと決めました」。 施主の荒巻様
施主様と共同でウッドフェンスをデザイン 建築の設計監理および木造建築の施工を行う株式会社PLAM代表取締役原田達浩氏。荒巻様とは普段から一緒に仕事をするビジネスパートナーで、その縁もあって荒巻邸の建設からウッドフェンスの施工も行ったそうです。荒巻様は建築計画の段階からウッドフェンスを計画されていたそうですが、その実際について原田氏に伺いました。 「荒巻様のご要望で住宅の内外装に木をたくさん使っています。荒巻様からメリットとデメリットを理解した上で塀をつくるなら、アルミなどの金属製品ではなく自然素材である木材でつくりたいとの思いを伺いました。木塀を長持ちさせるため、材木の選定から防腐処理方法・施工方法においても議論を重ね、施主様と構造やデザインを共同で行いました」。 建築と土木の二つの視点からウッドフェンスをデザイン。立地や環境も考慮に入れたのでしょうか? 「この地域は年間を通して風が強いため、風除け対策としてフェンスの板厚を一般的には18mmの所を耐久性を上げるために24mmにしました」。 株式会社PLAM・代表取締役 原田達浩氏
恒久的な使用を想定されたウッドフェンスの設計 腐食対策万全に設計されたウッドフェンス ウッドフェンスを長持ちさせるため、事前に使用材や施工方法について施主様と話されたようですが、実際にどのような工夫を施したのでしょうか? 「今回使用した材料は国産のスギをエコアコールと呼ばれる薬剤で含浸処理したエコアコールウッドを採用しました。性能区分は、AQ1種とK4と同等です。 施工面では、薬剤を含浸処理した材料を現場加工した場合、カット面が風雨に晒されると腐食の原因になるため寸法を厳密に決め、プレカットしてから含浸処理を施しました。支柱の金物のボルト穴の位置も設計段階で決めて加工し、含浸処理しました。腐食対策を徹底することにより、塀が長持ちするようになるため10年以上は持つと思います」。 保護塗料については、「保護塗料はウッドロングエコを塗った建築外壁に合うものを選びました。水性の木材保護塗料であるガードラックアクアのオーク色とオリーブ色を2:1の割合で調色。この製品は強力な撥水力と高い耐候性があるので木材保護に適しています」。 基礎ブロックと支柱の接合部
スッキリとしたデザイン。木塀に見紛う隠し扉の制作 ウッドフェンスと一体化した木製の扉 こちらのウッドフェンスは隣地との境界面に敷地外の側道に出入りできるよう扉を設けております。一見、塀に見えますが内側に鍵がついていて扉になっています。こちらの設計と施工の詳細を原田さんに伺いました。 「この扉の施工が今回の工事で一番こだわった箇所であり、大変だった所でもあります。荒巻様の要望で外へ出入りができるようにフェンスに扉を設けました。フェンスと違うデザインにすることも考えましたが、見た目をスッキリさせたいのとフェンスに溶け込むように隠し扉を設計しました。この設計と施工が苦労しました。施工の際、柱脚金物のボルトとフレームが干渉するため、現場で合わせながらフレームの加工が必要になり苦労しました。その他にもフェンスの板の内張り・外張りの角地の柱でも同様に金物と干渉する部分が出て来て、極力目立たないよう工夫が必要でした」。 木扉の裏面 フェンスが外張りと内張りに角地で切り替わっている
念願のウッドフェンスが完成!エイジングが楽しめる自然素材の魅力 エイジングを感じさせる家の外壁にウッドフェンスがマッチしている 住宅の竣工から1年。念願のウッドフェンスが完成しました。 今後のメンテナンスに関して原田氏は、「4〜5年おきなど経年変化を見つつ、塗装の塗り直しを行うことをオススメします。将来的に支柱部分にも劣化や腐食が発生した場合は部分的に取り替えが必要になります。柱脚金物に関してもサビなどの劣化が見られた場合は、再塗装による保護などを行い、恒久的に使用できるように設計しました」。 荒巻様は木の魅力について、「金属製品にはない自然素材特有のテクスチャーや不揃いな所がいいですね。石もそうですがエイジングを楽しめるのも木材ならではの魅力だと思います。また、劣化した場合に所有者自身である程度メンテナンスができる柔軟性も気に入っています。今後も木材を使って庭の整備を行っていければと思っています」。
Story 木に魅了された施主とデザイナーが共同設計したウッドフェンス 高知の山間に現れた、自然風景に溶け込む広大なウッドデッキ 「近くのスギ」に包まれて暮らす――スギの家がもたらした健やかな日常 体に正直になるとスギを選んでしまう建築家の自邸が証明した、暮らしてわかる心地よさ おすすめ記事 古くて新しい?国産木材をふんだんに活用できるCLTログハウス構法で建てた「上滝(かみだき)こどものもり」 長野県産スギ材で建てた、住み心地のいい木造住宅 カテゴリー SDGs エクステリア 木の家 木の街づくり タグ ウッドデッキ ウッドフェンス オフィスビル グランピング 開発秘話 学校・保育園 古民家 公園 公共スペース 雑誌掲載 対談 木の家具 木の雑貨 木の中高層建築物 木造住宅 遊具 JAS構造材 エリア 全国 北海道・東北地方 関東地方 中部地方 近畿地方 中国地方 四国地方 九州地方