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- 地域の製材工場から荒材を仕入れ、乾燥とモルダー加工をして製品化。 将来はJAS認定を取得し、JAS構造材の安定供給をめざす肥後木材。
地域の製材工場から荒材を仕入れ、乾燥とモルダー加工をして製品化。 将来はJAS認定を取得し、JAS構造材の安定供給をめざす肥後木材。
熊本県は全国有数のスギ・ヒノキの生産量を誇る林業県であると同時に大きな木材消費地でもあります。その熊本県の木材流通拠点として一翼を担っている肥後木材株式会社は令和5年度熊本県林業・木材産業生産性強化対策事業補助金を活用し、人工乾燥設備・モルダー加工設備を導入。モルダー工場棟および養生用のATAハイブリッド構法木造建屋2棟(984㎡・948㎡)の建設にあたっては令和6年度のJAS構造材実証支援事業を活用、地域の中小の製材工場と連携し荒材を仕入れて乾燥加工、モルダー加工を行い、自社オリジナルのKD材製品として出荷する体制を整えました。現在、JAS認証に向け準備しており、JAS構造材の県内外への安定供給の実現を目指しています。
自社で木材乾燥事業に取り組む肥後木材
土場には県内外の林業事業体からのたくさんの原木が運び込まれる
昭和33年に創業した肥後木材は、熊本市内の本社の他に球磨郡相良村に人吉支店があり、その2拠点で営業活動を展開しています。社長の佐藤さんから主な事業の内容をお聞きしました。
「弊社の主な事業は、大きく4つに分けられます。一つ目が丸太を扱う原木市場の事業です。二つ目が角材や板材などに加工された木材製品を扱う製品市場です。そして三つ目が木造建築の構造材等を工場で加工するプレカット事業となります。
さらに2025年度から高温人工乾燥設備やモルダー加工、グレーディングなどの設備を本社敷地内に新たに整備し、KD材製品の生産を開始しています。今後はJAS機械等級区分認証を取得しJAS構造材の安定供給をめざす考えです。川上に近い原木市場から、川下に近いプレカットまで木材流通業として幅広く事業を展開しています」
4代目社長の佐藤圭一郎さん
原木市場、製品市場、プレカット加工など木材の流通拠点として活躍
ATAハイブリッド構法による木造プレカット加工材倉庫
新たにスタートした乾燥加工事業以外の3つの事業について専務取締役の大城さんにご説明していただきました。
「原木市場は、原木を林業事業体さんなどから出荷していただき委託販売という形で月に2回、本社と人吉支店の両方で“市売り”を開催しています。最近では国有林の安定供給システム販売など、山での買い取り販売という形もありますが、8~9割が委託販売となっています。
製品市場も製材工場さんから製材品を出荷していただき、原木と同様に“市売り”を開いて委託販売をしていますが、最近は対面販売での市売りよりも注文書や電話によるスポット販売の比率が高くなっています。原木は実際に自分の目で見ないとわからない場合が多いのですが、角材や板材などの製品の場合は、その製材工場さんの名前で、ある程度品質がわかるので注文を受けて販売するという比率が高くなっています。
もともと肥後木材は、原木市場、製品市場の2つの事業がメインでしたが、木造建築の主流がプレカットになってきたのと、お得意先の木材会社さんからプレカットまでやってくれないかという要請があったので、製品販売を拡げるためのツールとして平成10年にプレカット事業を始めました。基本的に注文を受けてからの委託加工という形になっています。プレカット加工材倉庫はATAハイブリッド構法による木造で一般流通材を使用して建てています」
専務取締役の大城典宏さん
地域の中小規模の製材工場との協業をめざす
モルダー工場の建屋もATAハイブリッド構法による木造
今回の乾燥加工施設は(一社)全国木材組合連合会のJAS構造材実証支援事業などの支援を受けて整備されています。その経緯と背景を社長の佐藤さんにお聞きしました。
「JAS構造材の生産はもちろんですが、まずは地域の製材工場さんとの協業を念頭に置いて取り組みました。普段、当社の原木市場で原木をご購入いただいたり、製品市場に木材製品を出荷していただいたりしている製材工場さんが熊本県内に幅広くあるのですが、その中でも複数の中小規模製材工場さんから弊社へ乾燥加工設備をつくって欲しいというご要望を以前よりいただいておりました。
当時は乾燥設備を設置するための敷地の問題があったのですが、本社に隣接する土地を購入することができ、そこに原木用の第2・第3土場を新設し、敷地の余裕ができたので乾燥加工施設の導入に取り掛かることができました。その中で、設備は林野庁の施設等整備の補助金を活用し、また建屋は(一社)全国木材組合連合会が実施するJAS構造材実証支援事業のご支援をいただくことができ、設備の設置を進め、2025年5月末に竣工式を行い、6月頃から本格的に稼働させております。現在、製品強度と含水率のデータを取りながらJAS認証取得に向けて準備(2026年1月現在)しているところです。」
機械等級区分に必要なグレーディングマシン(強度検査機)
地域の木材産業を活性化させる乾燥設備
50㎥×8基の高温乾燥機を備える乾燥設備
肥後木材の乾燥設備は容量50立米の高温乾燥機を8基設け、月産能力は1,200立米(令和9年度目標)です。蒸発量6トンの木質バイオマスボイラーを備え、燃料は自社原木市場および提携製材会社から供給されるバークに自社のプレカット工場から出る端材やモルダー工場から出るカンナ屑を燃料に使用しています。乾燥加工施設に関して、乾燥事業部係長で木材乾燥士の河口さんにお話をお聞きしました。
「弊社製品市場へグリーン材製品を出荷していただいている製材工場様、また弊社原木市場(本社・人吉支店)から原木を購入していただいている製材工場様から一次製材をしただけの状態の“荒材”を供給していただき、当社の高温乾燥設備で乾燥させ、さらにモルダー工場で仕上げをしてKD材製品として出荷する体制を整えています。
グリーン材(未乾燥材)の需要は近年減少し、自社で乾燥設備を持っていない製材工場さんや、乾燥設備をお持ちでも乾燥材生産能力が小さい製材工場さんは販売量が減少しているので、弊社が荒材の状態で買い上げることでお互いにウィンウィンの関係を築けています。現在、モルダー工場は機械等級区分が出来るように準備中です。JAS認証を取得できれば、今後需要が広がると考えられるJAS構造材の安定供給を実現できます」
大城さんは「地域の製材工場さんに生産を続けていっていただけないと、弊社の原木市場での販売量も減ってしまいますし、製品市場への出荷も減ってしまいます。原木の流通量が減るということは素材生産をされている山側にも影響がでてきます。お互いが共存共栄していくために、この乾燥加工設備がぜひとも必要でした」と話します。
乾燥事業部 係長の河口慎司さん
JAS構造材の安定した供給の実現をめざす
直角二面かんな盤
佐藤さんに今後の展望をお聞きしました。
「非住宅木造建築分野ではJAS構造材が求められることがほとんどですし、建築基準法の改正などにより一般住宅建築でも含水率と強度が明示された製品が求められてきます。いまでもJAS製材のオーダーをいただくことがありますが、お取引先のJAS認証工場に委託しているのが現状です。
弊社のモルダー工場のJAS認証が取得できれば、木材販売会社さん、プレカット工場さんなど、より幅広い販売先を開拓していけると思います。弊社の製品倉庫を含む乾燥加工設備がJAS構造材の生産販売拠点となることで、熊本県だけでなく九州全域から本州へのJAS構造材安定供給を実現し、国産木材利活用に貢献できればと思っています」
写真左から乾燥事業部係長の河口慎司さん、代表取締役社長の佐藤圭一郎さん、専務取締役の大城典宏さん
令和6年度 JAS構造材実証支援事業
肥後木材株式会社
〒861-8012 熊本県熊本市東区平山町2986-11
https://www.higomoku.com/
YouTube:【ストーリー Vol 2】地域の製材工場から荒材を仕入れ、乾燥とモルダー加工をして製品化。将来はJAS認定を取得し、JAS構造材の安定供給をめざす肥後木材。