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洋上のアルプスと呼ばれる屋久島は、標高によって冷温帯・亜寒帯から亜熱帯へと気候が連続的に変化し、植生も北方のものから南方のものに垂直分布する。縄文杉をはじめ、樹齢1000年を超えるスギの巨木、屋久杉が点在する原生林の保護と木材生産、水源涵養、観光などの機能を持った森林経営の両立が図られている。1993年世界自然遺産登録。
青森県と秋田県にまたがる約13万haの山地帯に、ブナ、ミズナラ、サワグルミなど多種多様な植物が生育し、貴重な生態系が保たれている。ほぼ手付かずで残されたブナ原生林は世界最大級といわれる。1993年世界自然遺産として登録。
大陸と一度も陸続きになったことがない小笠原諸島は、独自の進化を遂げた動植物が多く生息・生育し、父島の乾性低木林、母島の湿性高木林など世界的に貴重な森林生態系が残されている。2011年世界自然遺産として登録。
北海道東部知床半島は、急峻な知床連山の山麓に点在する多様な湿原、高山植物群落や原生的な天然林、そして周囲の海洋が織りなす固有の生態系を有しており、その保全が進められている。2005年世界自然遺産として登録。
鹿児島県の薩南諸島南部に広がる島嶼群である。スダジイなどからなる亜熱帯照葉樹の森にはアマミノクロウサギなど世界的にも希少な動植物が生息し、保全上重要な地域である。2017年に国立公園として認定されている。
宮崎県日南市を中心に生産される飫肥杉は、400年以上前から植林が開始され、建物、木造船の材料として瀬戸内海や韓国などへ輸出されてきた歴史を持つ。日本を代表する優れたスギ材の一つである。
「木曽ヒノキ」は、木曽・裏木曽地域に分布する天然ヒノキを意味し、その森林は日本三大美林の一つに数えられる。寒冷地で育つため、他地域のヒノキよりもゆっくりと育ち、材はきめ細やかで美しい木目を持つ。伊勢神宮の遷宮用材や高級建築材として知られる。
青森を北限として全国に分布するヒバはアスナロとも呼ばれ、日本の固有種である。青森ヒバは日本三大美林の一つであり、樹齢200年以上の巨木も存在する。古くから社寺仏閣などの建築材料として珍重され、約890年前に立てられた、平泉の「中尊寺金色堂」は今なおその姿を残している。
秋田杉は、寒冷地で育つスギらしく、きめ細やかで強度、耐久性に優れた材料として知られ、大館曲げわっぱなどの伝統工芸品、建築、家具材料として広く用いられている。天然秋田杉は日本三大美林の一つとして知られる。
吉野川上流域は日本最古の人工林地帯であり、産出される吉野杉はその通直な木目、美しさ、加工性の良さから、建築材利用でも化粧用材といわれる内装材、建具などのほか、桶や樽の材料としても用いられている。
北山杉は古都京都の文化、芸術を支えてきた。大きな丸太を運ぶための広い河川がないこともあって、床柱として用いられる磨き丸太や絞り丸太など、細い丸太に付加価値をつける技術が発達し、京都の茶の湯文化、数寄屋建築を支えてきた。
将来の木材需要に備え、戦後長野県などに広く植林されたカラマツは、割れや狂いが出やすい性質と十分な加工技術がなかったため、長い間活用が進まなかった。木材加工技術の進歩した現在では、その優れた強度が生かされ、大規模建築物への利用など用途開発が進んでいる。
シイやカシ、タブノキなどで構成される宮崎県綾川流域の照葉樹林は原生的な状態で、まとまった面積で残された森林の一つである。スギやヒノキの人工林から照葉樹林への復元を図るプロジェクトも進み、2012年ユネスコエコパーク(生物圏保護区)に登録された。
光合成によって吸収された二酸化炭素の一部は植物の成長に使われ、幹や枝となる。木材になったあとも重さの約50%は二酸化炭素由来の炭素である。燃やす、腐るなどしない限り、炭素は固定されたままであり、賢い木材の利用によって気候変動、温暖化への影響を小さくできる。
木材・木材製品に持続可能な森林から産出されたことを示すラベルをつけ、差別化を図り、違法な伐採や森林破壊を防ぐための制度。独立した機関によって、一定の基準をもとに、森林だけでなく、加工、生産までの各過程、経営組織までが評価され、認証される。
安全に安定的に水を供給し、土砂崩れ、土砂流出など災害を防止することは安全、安心な暮らしに不可欠であり、森林の主要な働きであり、森林整備の目的の一つである。
自然とのふれあい、レクリエーションの機会を提供することは、森林の重要な機能の一つである。自然環境を保全し、動植物のすみかを守ること、自然の風景を維持することなどは、森林整備の重要な目的とされている。
木材は我が国に大量に蓄積され、生産、利用、廃棄の過程で環境への負荷が少なく、暮らしに欠かせない素材であり、安定的に供給されることが大切である。植林・育林、伐採・利用のサイクルを適切に管理し、繰り返すことが持続可能な未来につながる。
林道を整備することは、人工林での作業や移動にかかる負担を軽くするだけでなく、林業機械の導入による生産性向上や輸送効率を向上させるなど、林業の振興につながる。また森林が整備されることにより、森林の持つさまざまな働きが強化される。
資源の循環利用や森林整備のための伐採は森林の公益的機能を高める上で欠かせない作業である。その一方で、自然の回復力を考慮しない伐採、貴重な生態系を破壊する伐採、再造林が計画されていない伐採などは、社会や環境に大きな影響を及ぼすものである。
樹木が生長するにつれ森林は窮屈となり、個々の樹木の成長が阻害される。そこで人工林においては、成長が劣勢な樹木など一部を伐採(間伐)することで、樹木の成長を助け、森林内の採光をよくする。適切な間伐は森林の機能を向上させる。
枝打ちは、幹の下の方にある枝を取り払い、製材後の表面に節のない材料の生産に必要な作業である。作業は熟練を要し、枝を落としすぎたりする
植林後間もないスギなどの苗木はある程度大きく育つまでに、ササ、雑草、ツル性植物などに阻害されることがある。そこでそれらの植物を排除するために下草刈り(下刈り)が行われる。下草刈りは植林から5~7年間を目安に行われる。
植林・育林は地盤の安定化、水資源の確保、生態系の保全、防風や土壌流出の防止といったさまざまな目的で行われる。人工林の場合、苗木を植えたのち、下草刈りや間伐、枝打ちなどを行い適切に育てる作業が継続的に行われる。
森林の管理や木材伐採については、世界各国あるいは国際機関が定める法律、条約がある。これに反して森林の伐採が進み、違法な木材が流通することで、直接的な森林破壊が進むだけでなく、森林の質の低下による土地の用途転換や開発を容易にし、環境破壊を加速させる。
林業の担い手不足(就業者不足、後継者不足)は、日本各地の過疎化や森林の荒廃と深く関わる問題である。現在その解決に向けて、生産性や収益の向上、若者や未経験者の技術習得支援、高性能林業機械の導入、ICTの活用などが進められている。
人工林では、植林された木が成長し、密集することで森林内に太陽の光が届かなくなる。この暗い森では保水力が弱くなったり、土砂流出などの災害の原因となりかねない。適切な間伐を行い、森林内を明るくすることで、木や草が根をしっかりと張り、力強い森へと変わる。
近年、木材収穫後、再造林がなされず放置される森林が増加している。こうしたことの増加は森林の機能や質を低下させ、将来的に災害を引き起こし、資源不足や水源の枯渇などに拡大していくおそれがある。
1984年東京・中野区に開館、2008年に旧新宿区立四谷第四小学校に移転。収蔵品のおもちゃは100カ国10万点以上に及ぶ。赤ちゃんからお年寄りまでの多世代にとって、豊かな出会いと楽しみ提供する。沖縄、山口、秋田など全国各地に姉妹美術館が続々とオープンしている。
温室効果ガスの排出を減らしながら、豊かさを実感できる簡素な暮らしを実現するために、生活の環境、社会の環境を木質化することが期待されている。それはエネルギー、資源利用、森林・林業の問題解決を越えて、自然素材の良さ、あたたかさが感じられる生活、地域づくりの鍵でもある。
「子育てを中心に地域を繋ぐ」をコンセプトとして、日南市周辺の飫肥杉を活用し、木のぬくもりと香りが感じられる子育て広場が実現。床、壁、遊具、おもちゃなどふんだんに木材が使用され、親子でゆっくりと遊べる施設である。2017年にウッドデザイン賞を受賞。
やわらかで温かみのある感触、高い吸湿性など、木材の性質を活用することで、児童生徒の学習の場、生活の場にふさわしい環境づくりを目指す取り組み。文部科学省などが積極的に推進しており、地球温暖化防止への貢献、地域の文化の継承などその意義が強調されている。
ある製品を購入、利用することはその生産者や生産地を潤すという意味である。地域材利用の場合、その地域の経済、林業を潤すだけでなく、地域の森林整備を進め、森林の質を向上させ、環境の改善や災害防止にまでつながる。
我が国では、解体や改修の際、古い木材が繰り返し再利用されることが伝統的に行われており、歴史的建造物からその痕跡を見ることができる。古い建物を移築したり、使用できる木材を生かすことは、資源の有効活用やの点からも推奨されている。
伐採された樹木、間伐材、樹皮、枝、葉、加工時の廃材などは、エネルギー源としても有望な資源である。その燃焼によって発生する二酸化炭素はもともと大気中にあったものであり、森林の成長によって吸収される量を超えない限り、二酸化炭素の増減に影響を与えない。
国土の3分の2を豊かで多様な森林がおおう我が国では、組子細工や漆器など多くの伝統工芸とその技術が受け継がれてきた。そうした技術はただ守られるだけでなく、最新のテクノロジーや新たな感性と融合しながら、新たな文化として創造されている。
ドイツで開発されたCLTは、森林資源の有効活用や環境に優しい都市づくりに 必要な新素材として注目されている。高層の木造建築も可能で、高い断熱性や 耐震性、遮音性、耐火性を持つ。Cross Laminated Timberの略。
街路樹が枯れたり伐採されたあと、通常は焼却したりチップとして再利用される。しかし、街中や学校などの施設の樹木には様々な思い出が込められており、その活用を望む声は少なくない。その声に応えようとする新しいビジネスが少しずつ動きはじめている。
森林の機能を高めるために伐採された間伐材は、材の品質やコストの問題があるものの、付加価値の高い利用方法が必要とされている。コンビニやカフェなどでも間伐材の利用は進んでおり、さらに斬新なアイデアが求められている。
全国各地の駅舎や電車の外装、内装に木材を使用する例が増えている。鉄道に豊かさや地域のイメージを付加し、観光客の誘致につなげるだけでなく、地域材利用による地域の経済や林業の活性化が期待されている。
戦後造成した人工林の本格的な利用期にあたり、木材の良さや価値を再発見させる製品や取組を表彰することで、“木のある豊かな暮らし”を普及・発展させ、木材利用の拡大、そしてイノベーションを生み出すことを目的とした制度。
杉の魅力をきちんと評価し、産地や加工者、流通、デザイン、販売など杉を取り囲むシステムを結びつけ、杉をもっと使っていこう!という人たちの集合体。クオリティ高く愛情のこもった、杉ならではのモノたちを世の中に行き渡らせよう、というプロジェクト。
木育・森育はそれこそ多種多様な森のように、木や森に関するどんな活動も包括している。「木育・森育楽会」は誰でもが気軽に参加でき、自分の活動を紹介し、そこから有機的につながっていかれる場を提供する、「楽」しむ「会」である。
宮崎県日南市で、地元の飫肥杉(オビスギ)をPRする、非公認ご当地キャラ。ウッドデザイン賞2015受賞。世をしのぶ仮の姿は、日南市役所の広報マン。飫肥杉で作られた仮面以外は全身赤いのが特徴。杉と歌と野球と酒が好ぎ。
木造・木工関係の職人、鍛冶職人だけでなく、かんななどの手工具に興味をもつアマチュアなどが世界中から集まり、かんなで木材を削り、極限の薄さに挑む。伝統技術の可能性を追求する会である。
自然と森林のしくみ、森林づくりと林業、山村の暮らしと文化、森林内での活動、安全対策のすべてについて知識と技術を持つ「森の案内人」。森を訪れる人が心地よく過ごし、楽しみ、感じ、森林を深く知ることができるよう、お手伝いする存在である。
木育の推進と国産材活用による森林環境改善に貢献することを目的として結成された生産加工業者の全国ネットワーク。産官学の連携を図り、全国各地の伝統技術や地域性を生かした商品開発などに取り組む。
幼稚園児や小学生を対象とした室内専用複合遊具Hako Dake Hiroba(北海道 産針葉樹材を活用した製品開発プロジェクト)のイメージキャラクター。ハコをかぶっただけのシンプルさが人気の秘訣?担当者のお子さん(当時小5、小3)のスケッチ画から誕生した。
二酸化炭素削減に向けて採択された京都議定書を契機として林野庁が開始した国民運動。国産材の積極的な利用を通じて林業、そして山村を活性化し、CO2をたっぷり吸収する元気な森林づくりを目指す。木育は木づかい運動の一つとして始まった。
林業女子とは、林業を愛しアクションするすべての女子のこと。林業現場だけでなく木材・建築業界で働いたり、趣味や教育活動で森や木に触れるなど、いろいろな形で林業に関わり活躍している女子がいる。「林業女子会」というサークルも全国各地に広がっている。
日本全国の木材産業を担う若手経営者によって結成。長年にわたり木材活用コンクール、木工工作コンクールなどの木材の普及や利用拡大に関する取り組み、木材利用による低炭素社会の実現を目指す。
林野庁(Forestry Agency)は農林水産省の外局として設置された政府機関であり、我が国の森林の整備保全、森林経営の監督、国有林の管理、経営、林業 技術の改良や普及など、森林・林業に関する事務全般を扱っている。
森林の適正な整備・保全や木材自給率の向上に向けて、公共建築物への木材利用を国が率先して行い、持続可能な林業、木材利用の拡大を実現するための基本方針が平成22年にこの法律で示された。正式名称は「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」
2004年に北海道で生まれた教育活動。木に対する親しみや木の文化、木材利用への理解をうながすことをねらいとして、林業、木材関連団体、教育機関をはじめ、医療や福祉に関わる市民団体や企業などが参加し全国的に広がる。