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スゴいぞ!ニッポンの木のチカラ2021 ▽これまでの概念を覆す木材革命の展開

スゴいぞ!ニッポンの木のチカラ2021

これまでの概念を覆す木材革命の展開

高級寿司店で人気の日本酒は、木が生み出す味がおいしさの秘密となり、都心では巨大な木造建築物が次々と誕生…。今、木材に関わるあらゆるイメージが変わりつつあります。そんな知られざる木の可能性に迫る「スゴいぞ! ニッポンの木のチカラ2021」が10月9日、BSテレ東で放送されました。今年も全国で、これまでの概念を覆す木材革命が展開されています。

最新技術の導入で安全かつ快適な
木造マンションの建築を可能に

三井ホームが手がける東京の稲城市に建設中の5階建てマンションは、1階以外の構造がすべて木で造られています。断熱性に優れ、夏は涼しく冬は暖かいという木造住宅の魅力を、大型建築で実現しようという狙いです。防火性能は高く、建物を支えている木材はすべて石膏ボードで覆われているため、火災が起きても1時間は火に耐えられます。さらに今回新たに開発した耐力壁「モクスウォール」は、耐震性能の要であり、強度は戸建住宅の耐力壁の約10倍。木のフレームに構造用パーティクルボードを両側から貼り付け、独自開発の特殊な釘を使うことで高い強度の耐力壁を実現しました。床下には制振パッドを埋め込み、振動や音を抑え込みます。建築コストは今回のマンションの場合、鉄筋コンクリート造と比べて1割ほど削減できるといいます。数々の最新技術を導入することで、火事や地震に強く安全で快適な木造マンションを可能にしました。

美しい音響を追及して生まれた
唯一無二の音楽ホール

音楽教育の名門、桐朋学園の音楽ホールは今話題の大型木造建築です。コンセプトは「木が奏でる音の学び舎」。楽器の多くが木でできていることもあり、音楽と木はとても相性がいいそうです。同校の長瀨浩平理事は「建物全体が音を奏でるという感覚で、壁も音を共振して空間全体で音を作るために木を選んだ」と語りました。壁や天井は一面平坦ではなく、ところどころに起伏がある造りになっています。これは音響を計算して設計されたもので、美しい音色を響かせることを追求して生まれた唯一無二の音楽ホールなのです。この複雑な形と強度の両立を可能にしているのが、CLTという新しい木材です。木の板を繊維の方向が交わるように重ねて貼り合わせたもので、強度はコンクリート並み。質の高い木材で造った建物は、しっかりメンテナンスをすれば数百年に渡って使い続けることができます。

薄く削った木を重ね合わせて
大型建築を支える木材に

今年、新設された千葉県流山市のおおぐろの森小学校は、木造の小学校としては3階建てで日本最大級。昇降口から木で覆われた造りになっており、教室もこれまでの学校とは全く違う雰囲気です。体育館では10メートルを超える梁などをつなぎ合わせ、巨大な空間を柱なしで支えています。この学校に使われているのは、薄い木を貼り合わせたLVLという特殊な木材です。
LVLを作っているのが同じ千葉県内にあるキーテック。工場では、まず丸太の原木を機械にセットし、まるで大根の桂剥きのように木を約3.5ミリもの薄さに削り出します。次は乾燥の工程、薄くすることでしっかりと水分を飛ばすことができ、縮んだり反り返ることを防ぎます。続いて機械で強度を測り、節の数などを調べて状態が良い木を選別します。それを繊維方向が平行になるように、かつ節などの弱い部分が重ならないようにはり合わせることで、強度のバラつきが小さく、構造材として利用できる強いLVLになるのです。


木を育てる、新しい挑戦。
ドローンで林業が変わる!?

和歌山県田辺市にある株式会社中川。もともと地元の森林組合に勤めていた創業者の中川さんは、現場で働く林業従事者の高齢化や後継者不足など林業の未来に危機感を持っていました。若い後継者になる人を呼び込みながら山を育てる事業ができないかという思いで、5年前「木を植えること」に特化した会社を立ち上げたのです。傾斜のきつい山は、登るだけでもひと苦労。作業は危険を伴い、しかも道具や大量の苗を運ぶとなると、かなりの重労働です。そうした労働環境を改善しようと、機械メーカーにアイデアを出して自社開発したのがドローン「いたきそ」です。

伝統的な製法でロマンを伝える
木桶を使用した酒造り

現在、多くの酒蔵ではステンレスの桶を使い、データ化された手法で酒の味を均質に造り出すやり方が主流です。ところが秋田県秋田市で170年の歴史を誇る新政酒造では、8年前から木桶を使い、野生の酵母から独自の菌株で醸造する昔ながらの酒造りを復活させました。木桶の表面の小さな孔(あな)や、部材のすき間に残る微生物の生命活動が、より個性的な酒造りに影響するためです。その木桶を作る職人の減少が課題となった時、同社の佐藤祐輔社長が知り合ったのが、住宅設計士の相馬佳暁さんでした。相馬さんは半年に一度、大阪にある木桶の製作所を訪ね、職人から技術を学んでいます。木桶に使う板は、1本の木から4~5枚しかとれません。幅はそれぞれで異なり、その大きさや向きを設計して組み立てるのは至難の業です。足掛け3年、悪戦苦闘しつつも、相馬さんは製作から修繕まで、木桶に関わるすべての技術を身につけることで、佐藤さんと共に秋田の木と米と水で完結する酒造りの実現を目指しています。

木材の欠点を克服する技術開発

従来の木材には、腐りやすい、寸法が狂いやすい、燃えやすいという3つの欠点があります。コシイプレザービングは、それらを克服する20年以上雨ざらしでもシロアリがつかず木材を長持ちさせる薬剤を開発しました。また、水蒸気を使った熱処理も実施しています。木材が水蒸気を含んだ状態で圧力をかけ、200℃以上の熱を加えて中まで乾燥させることで、耐久性が高い防腐木材を実現。国内第一号の木製ジェットコースターや、山の斜面の崩壊を防ぐ公共事業での活用など、木材の新たな需要を生み出すことにも成功しています。

スゴいぞ!ニッポンの木のチカラ 2021(全編)

木造マンション、音楽ホールから木桶まで。これまでの概念を覆す木材革命の展開を全編まとめてご覧いただけます。