国産のスギ材で住宅を建てるメリット9選|杉の疑問にお答えします
目次
住まいづくりを考える際、どんな素材を選ぶかで快適さや耐久性、見た目の雰囲気が変わります。とくに木造住宅では、使用する素材が住み心地を左右するといっても過言ではありません。木材にはさまざまな種類がありますが、なかでも国産のスギ材は、日本の気候風土に適した建材として古くから親しまれてきたものです。
この記事では、国産のスギ材で住宅を建てるメリットとデメリット、そして日本の住まいに国産スギがおすすめの理由を紹介します。
この記事では、国産のスギ材で住宅を建てるメリットとデメリット、そして日本の住まいに国産スギがおすすめの理由を紹介します。

国産のスギ(杉)材とは?
国産のスギ(杉)材とは、日本国内で育てられ伐採されたスギの木から得られる木材のことです。
スギは成長が早く、まっすぐに伸びる性質なため、建築用材として古くから重宝されてきました。秋田杉、吉野杉、屋久杉など、地域ごとに特徴ある銘木も存在し、日本の木造建築文化を支えています。
適切に管理された森林からは、持続的に良質な木材が得られます。
コロナ禍以来、輸入材が不確実ななか、新しい国産材のサプライチェーンの構築が進んでいます。そのため、国産のスギ材の価格も安定しているのです。国産材だから高いといった認識は、今はもうありません。
スギは日本固有の針葉樹
スギは日本固有の針葉樹で、全国で植栽されていますが、北海道では道南地域、沖縄県では本島北部地域に分布しており、日本の森林面積の約18%、人工林の約44%を占める代表的な樹種です。スギは成長が早く、まっすぐに伸びる性質なため、建築用材として古くから重宝されてきました。秋田杉、吉野杉、屋久杉など、地域ごとに特徴ある銘木も存在し、日本の木造建築文化を支えています。
スギはもっとも多く生産される木材
スギの木は、樹齢40~80年程度で建材として利用できる大きさに育ちます。戦後の植林政策によって全国各地でスギが植えられ、現在では国内でもっとも多く生産される木材です。日本人の価値観や美意識に合っていたからといえましょう。適切に管理された森林からは、持続的に良質な木材が得られます。
国産のスギ材はけっして高くない
国産の木材と聞くと価格が気になる方もいるでしょう。国産のものは何かと「高い」といった風潮があるからです。しかし現在は、国産材だからといってけっして高額とはいえません。コロナ禍以来、輸入材が不確実ななか、新しい国産材のサプライチェーンの構築が進んでいます。そのため、国産のスギ材の価格も安定しているのです。国産材だから高いといった認識は、今はもうありません。

国産のスギ材で木造住宅を建てるのにはどんなメリットがあるの?
国産のスギ材を住宅に使うことには、多くのメリットがあります。日本で育ったスギだからこその特性をいかせば、日本の気候や風土にあった快適で健康的な住まいを実現できるのです。
ここからは、国産のスギ材で木造住宅を建てるメリットを9つ紹介します。
さらに、適切な処理を施せば、外壁や軒天、ウッドデッキ、フェンスなどにも利用できます。国産のスギ材なら、ひとつの樹種で家全体をコーディネートできるため、統一感のある美しい住まいづくりの実現が可能です。

この特性により、職人の技術をいかした細やかなデザインや、オーダーメイドの家具や建具づくりもできるため、オリジナリティあふれる空間づくりもできます。
加工しやすいということは、施工時間の短縮やコスト削減にもつながるのです。現場での微調整もしやすいため、リフォームやリノベーションにも使いやすい素材となっています。DIYで家具や小物を作る際にも適しており、住まいづくりの可能性を広げてくれる素材といえるでしょう。
木目の美しさは時間とともに変化し、経年により深みのある色合いへと移り変わります。無垢のスギ材を使った空間は、年月を重ねるごとに味わいが増し、住む人とともに成長していく家となるのです。この自然な美しさは、人工的な建材ではけっして再現できないスギ材ならではの価値といえます。
一般的な建築用材から高級な銘木まで、予算やニーズに応じて選べます。国内生産のため輸送距離が短く、輸送コストを抑えられることから、輸入材と比較しても価格が安定しているのです。
機器に頼らず自然に湿度をコントロールできるため、省エネルギーにも役立つでしょう。快適な湿度に保たれた室内は、住む人の健康維持にも役立ちます。
高温多湿な日本の気候では、ダニの発生は住宅の大きな課題です。国産のスギ材を使用することで、化学薬品に頼ることなく自然な方法でダニの発生を抑制できます。アレルギーや喘息の原因となるダニを減らすことは、とくに小さなお子さんや高齢者がいる家庭にとって大きなメリットとなるでしょう。
そのため、外気温の影響を受けにくい快適な室内環境をつくれます。夏や冬の冷暖房効率が向上するため、光熱費の削減にもつながり、環境にも家計にもやさしい住まいが実現できるでしょう。床材としてスギを使用すれば、冬でも素足で歩けるような温かみのある床になります。
また、木の温かみのある触感や視覚的なやわらかさも、心理的な安らぎをあたえてくれます。自然素材である木材の質感は、人工素材にはないやさしさがあり、帰宅したときのホッとする感覚を生み出してくれるでしょう。毎日過ごす住まいだからこそ、自然にリラックスできる環境は大切にしたいものです。
また抗菌作用により、空気中の有害な菌の繁殖を抑える効果も期待できます。化学物質を使わずに、自然の力で快適な室内環境を保てることは、長期的な健康維持に役立つはずです。
ここからは、国産のスギ材で木造住宅を建てるメリットを9つ紹介します。
家の内外装や外構など広範囲に使える
スギ材の用途の広さは見逃せません。構造材として柱や梁はもちろん、内装材としても幅広く活用できます。床材、壁材、天井材などに使用すれば、木のぬくもりを感じられる空間を演出できるでしょう。さらに、適切な処理を施せば、外壁や軒天、ウッドデッキ、フェンスなどにも利用できます。国産のスギ材なら、ひとつの樹種で家全体をコーディネートできるため、統一感のある美しい住まいづくりの実現が可能です。

加工しやすい
スギ材は比較的柔らかい材質で、加工性にすぐれています。のこぎりやかんななど大工道具での加工がしやすく、複雑な形状の細工も可能です。この特性により、職人の技術をいかした細やかなデザインや、オーダーメイドの家具や建具づくりもできるため、オリジナリティあふれる空間づくりもできます。
加工しやすいということは、施工時間の短縮やコスト削減にもつながるのです。現場での微調整もしやすいため、リフォームやリノベーションにも使いやすい素材となっています。DIYで家具や小物を作る際にも適しており、住まいづくりの可能性を広げてくれる素材といえるでしょう。
杉の木目が美しい
スギ材の美しい木目は、自然な温かみと高級感をもたらします。まっすぐに通った木目は上品ですっきりとした印象をあたえ、落ち着いた雰囲気をかもし出してくれるのが醍醐味です。赤みがかった心材と白っぽい辺材のコントラストも魅力で、自然素材ならではの表情を楽しめるでしょう。木目の美しさは時間とともに変化し、経年により深みのある色合いへと移り変わります。無垢のスギ材を使った空間は、年月を重ねるごとに味わいが増し、住む人とともに成長していく家となるのです。この自然な美しさは、人工的な建材ではけっして再現できないスギ材ならではの価値といえます。

幅広い価格帯で安定して流通している
国産のスギ材は日本国内でもっとも生産量が多い木材であるため、安定した供給が期待できます。全国各地の森林から伐採され、製材所で加工されており、流通ルートが確立されていて、必要なときに必要な量を入手しやすい利点があるからです。また、価格帯が幅広いことも魅力です。一般的な建築用材から高級な銘木まで、予算やニーズに応じて選べます。国内生産のため輸送距離が短く、輸送コストを抑えられることから、輸入材と比較しても価格が安定しているのです。
湿度を調節してくれる
スギ材のもつ調湿機能は、日本の高温多湿な気候においてメリットです。調湿は木材全般にいえることですが、とくにスギは軽くて柔らかい材質で細胞内に多くの空気を含むため、高い調湿性能を発揮します。湿度が高いときには室内の湿気を吸収し、乾燥しているときには湿気を放出することで、年間を通じて快適な湿度を保ってくれるのです。機器に頼らず自然に湿度をコントロールできるため、省エネルギーにも役立つでしょう。快適な湿度に保たれた室内は、住む人の健康維持にも役立ちます。
カビやダニの発生を抑える
スギ材に含まれる精油成分には、ダニの発生を抑える働きがあることが研究で明らかになっています。木材チップを用いた実験では、スギを含む木材から発散される揮発性成分が、室内に生息するヤケヒョウヒダニの行動を抑制することが科学的に実証されました。高温多湿な日本の気候では、ダニの発生は住宅の大きな課題です。国産のスギ材を使用することで、化学薬品に頼ることなく自然な方法でダニの発生を抑制できます。アレルギーや喘息の原因となるダニを減らすことは、とくに小さなお子さんや高齢者がいる家庭にとって大きなメリットとなるでしょう。
断熱効果が高い
スギ材は熱伝導率が低く、すぐれた断熱性能をもっています。木材の中でもとくにスギは、内部に多くの空気層を含む多孔質な構造が特徴で、この空気層が断熱材としての役割をはたし、また冬季には冷たくなりにくい特徴もあります。そのため、外気温の影響を受けにくい快適な室内環境をつくれます。夏や冬の冷暖房効率が向上するため、光熱費の削減にもつながり、環境にも家計にもやさしい住まいが実現できるでしょう。床材としてスギを使用すれば、冬でも素足で歩けるような温かみのある床になります。
リラックスできる
スギの香りには、私たちの心身をリラックスさせる効果があります。スギに含まれる芳香成分には、ストレスを軽減し、リラクゼーション効果をもたらす働きがあることが科学的に実証されました。また、木の温かみのある触感や視覚的なやわらかさも、心理的な安らぎをあたえてくれます。自然素材である木材の質感は、人工素材にはないやさしさがあり、帰宅したときのホッとする感覚を生み出してくれるでしょう。毎日過ごす住まいだからこそ、自然にリラックスできる環境は大切にしたいものです。
空気をきれいにしてくれる
スギ材に含まれる精油成分には、室内の空気環境を整える働きがあります。フィトンチッドと呼ばれる成分は、消臭効果をもち、生活臭や不快な臭いを自然に軽減してくれるものです。また抗菌作用により、空気中の有害な菌の繁殖を抑える効果も期待できます。化学物質を使わずに、自然の力で快適な室内環境を保てることは、長期的な健康維持に役立つはずです。

国産のスギ材で木造住宅を建てるデメリットは?
多くのメリットがある国産のスギ材ですが、使用する際には知っておくべきデメリットもありますので、確認しておきましょう。
特性を理解した上で適切に使用することで、デメリットを最小限に抑えられます。
とくに床材として使用する場合は、この点を知っておかなければなりません。ただし、この柔らかさは足触りのよさや温かみにもつながるものです。
また、小さな傷は「味わい」として経年変化を楽しめるでしょう。傷が気になる場合は、使用頻度の高い場所には硬質な塗装を施したり、他の樹種と組み合わせたりするなどの工夫で対処ができます。
国産のスギ材は日本の気候に適応している木材ですが、使用場所に応じた対策をとることで、より長持ちさせられます。
しかしこれは木材が生きている証であり、味わいや風合いとして楽しむことで、デメリットではなく魅力に変わります。どうしても変色を防ぎたい場合は、UVカット塗装や適切な配置などの対策が有効です。
特性を理解した上で適切に使用することで、デメリットを最小限に抑えられます。
柔らかくて傷がつきやすい
スギ材は加工しやすい反面、比較的柔らかい材質であるため傷がつきやすいという特徴があります。硬いものを落としたり、家具を引きずったりすると、凹みや傷ができやすいのです。とくに床材として使用する場合は、この点を知っておかなければなりません。ただし、この柔らかさは足触りのよさや温かみにもつながるものです。
また、小さな傷は「味わい」として経年変化を楽しめるでしょう。傷が気になる場合は、使用頻度の高い場所には硬質な塗装を施したり、他の樹種と組み合わせたりするなどの工夫で対処ができます。
湿気を吸収しやすい
調湿機能をメリットと捉えるのに対して、スギ材は湿気を吸収しやすいことがデメリットであるともいえます。過度に湿気が多い環境では、材の伸縮や反りが起こるため、それを見越した素材の選定や施工をしなければなりません。国産のスギ材は日本の気候に適応している木材ですが、使用場所に応じた対策をとることで、より長持ちさせられます。
経年で変色しやすい
スギ材は、紫外線や経年変化により変色しやすい特性があります。とくに白っぽい辺材部分は、時間とともに黄色や褐色へ変化していきます。日光が当たる場所では、この変化がより顕著です。しかしこれは木材が生きている証であり、味わいや風合いとして楽しむことで、デメリットではなく魅力に変わります。どうしても変色を防ぎたい場合は、UVカット塗装や適切な配置などの対策が有効です。

木造住宅に国産のスギ建材がおすすめの理由
ここからは、実際に家づくりで国産のスギを選ぶ本質的な理由と、効果的な使い方について紹介します。
また、地域の森林資源を活用することで林業を支援し、森林の健全な管理につながるのです。輸送距離が短いため環境への負荷も小さく、生産地や品質が明確な国産材は安心して使用できます。何世代にもわたって住み継がれる家を建てるなら、国産のスギ材は理想的な選択肢といえるでしょう。
内装材では、寝室や子ども部屋の壁や天井、リビングの床材など、調湿性能や香りをいかせる場所が最適です。水回りなど湿気の多いところでは、赤身部分や保護塗装を施したスギ材と他の樹種を組み合わせます。
外装では、軒の深い日本家屋の特徴をいかし雨がかかりにくい場所に使用するか、焼杉など耐久性を高める伝統的な処理を施すとよいでしょう。
植林されたスギが育ち、大量にストックされ、それを利用することで、林業の活性化や森林資源の循環利用を促進するため、公共施設だけでなく民間住宅でも国産材の使用が奨励されているのです。またカーボンニュートラルの実現に向けて、木が成長中にCO2を吸収し木材として使用することで炭素を長期間貯蔵できる「炭素の固定」も重視されています。
国産のスギ材を選ぶことは、こうした国の方針に沿った持続可能な住まいづくりにもつながるのです。
なぜ国産のスギで家をつくるといいの?
国産のスギ材は、日本の気候風土や日本人の美意識に適した建材であり、日本の住まいに求められる機能を備えています。また、地域の森林資源を活用することで林業を支援し、森林の健全な管理につながるのです。輸送距離が短いため環境への負荷も小さく、生産地や品質が明確な国産材は安心して使用できます。何世代にもわたって住み継がれる家を建てるなら、国産のスギ材は理想的な選択肢といえるでしょう。
適材適所、どの構造で国産のスギを使えばいいの?
国産のスギ材を効果的に使うには、その特性をいかした適材適所の配置が重要です。構造材としては柱や梁などに使用でき、とくに圧縮強度が求められる柱材としてすぐれた性能を発揮します。内装材では、寝室や子ども部屋の壁や天井、リビングの床材など、調湿性能や香りをいかせる場所が最適です。水回りなど湿気の多いところでは、赤身部分や保護塗装を施したスギ材と他の樹種を組み合わせます。
外装では、軒の深い日本家屋の特徴をいかし雨がかかりにくい場所に使用するか、焼杉など耐久性を高める伝統的な処理を施すとよいでしょう。
国が国産材の利用を推奨しているから
国は 「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(通称:都市(まち)の木造化推進法)」などを通じて、積極的に国産材の利用を推進しています。近年、大型施設などで木材がふんだんに使用されているものが印象的です。植林されたスギが育ち、大量にストックされ、それを利用することで、林業の活性化や森林資源の循環利用を促進するため、公共施設だけでなく民間住宅でも国産材の使用が奨励されているのです。またカーボンニュートラルの実現に向けて、木が成長中にCO2を吸収し木材として使用することで炭素を長期間貯蔵できる「炭素の固定」も重視されています。
国産のスギ材を選ぶことは、こうした国の方針に沿った持続可能な住まいづくりにもつながるのです。

国産のスギ(杉)材でぬくもりある木の家づくりを
国産のスギ材は、日本の気候風土のなかで育まれ、日本人の暮らしとともに歩んできた建材です。調湿性能、断熱性能、抗菌作用、リラックス効果など、多くのメリットをもち、見た目のよさだけでなく快適で健康的な住まいを実現します。
たしかに、傷つきやすさや変色などのデメリットもありますが、それらは適切な対策や考え方の転換で乗り越えられるものです。むしろ、経年変化を楽しみ、自然素材ならではの味わいを愛でることも、木の家に住む醍醐味といえるでしょう。
これから家づくりを考えている方は、ぜひ国産のスギ材を選択肢に入れてみてください。地域の森林を守り、環境に配慮しながら、家族みんなが心地よく過ごせる、ぬくもりあふれる木の家を実現できるはずです。
日本の伝統と現代の技術が融合した、国産スギの家で、豊かな暮らしを始めてみませんか。
参考:
林野庁「スギ・ヒノキ林に関するデータ」
林野庁「木材産業の現状」
たしかに、傷つきやすさや変色などのデメリットもありますが、それらは適切な対策や考え方の転換で乗り越えられるものです。むしろ、経年変化を楽しみ、自然素材ならではの味わいを愛でることも、木の家に住む醍醐味といえるでしょう。
これから家づくりを考えている方は、ぜひ国産のスギ材を選択肢に入れてみてください。地域の森林を守り、環境に配慮しながら、家族みんなが心地よく過ごせる、ぬくもりあふれる木の家を実現できるはずです。
日本の伝統と現代の技術が融合した、国産スギの家で、豊かな暮らしを始めてみませんか。
参考:
林野庁「スギ・ヒノキ林に関するデータ」
林野庁「木材産業の現状」






