スギとヒノキの違いとは?木造住宅における日本の2大人気樹種を徹底比較
日本の木材でもっとも有名な樹種といえば、スギ(杉)とヒノキ(檜)です。これらの木材は古くから建築材料として親しまれてきましたが、「スギとヒノキの違いがよくわからない」という声もよく耳にします。
住宅を建てる際には、構造材や内装材の選択が住み心地や耐久性に大きく影響するため、それぞれの特徴を理解することが重要です。
ここでは、スギとヒノキの違いでよくある質問を紹介し、お答えします。家を建てる際に施主が樹種を選定することはほぼありませんが、日本でもっとも生産されている樹種を知っておくことで、設計や建築の段階から、より一層わが家に愛着がもてるようになるはずです。ぜひ参考にしてください。
住宅を建てる際には、構造材や内装材の選択が住み心地や耐久性に大きく影響するため、それぞれの特徴を理解することが重要です。
ここでは、スギとヒノキの違いでよくある質問を紹介し、お答えします。家を建てる際に施主が樹種を選定することはほぼありませんが、日本でもっとも生産されている樹種を知っておくことで、設計や建築の段階から、より一層わが家に愛着がもてるようになるはずです。ぜひ参考にしてください。

スギ(左)とヒノキ(右)の違いに関するよくある質問
スギとヒノキの違いに関するよくある質問を紹介します。
下表のようなスギとヒノキの見た目の特徴を覚えておけば、森林などでスギとヒノキを区別できるようになるでしょう。
この見た目の違いにより、内装材として使用する際には印象が大きく変わるのです。使い方にもよりますが、スギは温かみのある和風の雰囲気を演出し、ヒノキは上品で洗練された空間を作り出します。
スギは軽量で加工しやすい特徴があり、大工さんにとって扱いやすい木材です。スギはヒノキと比べても密度が低いため、内部に空気をたくさん含むことから、断熱性に優れています。また防水性が高く、酒樽や船などにも活用されてきました。
空気を含む構造から調湿効果もあり、室内の湿度を自然に調整してくれる働きも期待できます。またスギはヒノキに比べ成長が早く、資源として豊富なため、幅広い価格帯から入手できるのも大きな利点です。やや節が多いものは金額が抑えられる一方、節の少ない赤身※や柾目※といった上品な材料も価格によって入手が可能なため、予算や好みによって選ばれるとよいでしょう。
一方、ヒノキは特有の爽やかな芳香があり、日本人に好まれるだけでなく、リラックス効果も期待できます。さらに抗菌・防虫効果もあるため、シロアリなどの害虫から建物を守ってくれる点もメリットです。木材の狂いが少なく安定性が高いことから、精密な加工にも適しており、加工後の仕上がりも美しく、高級建築材として重宝されています。
このように、スギとヒノキはそれぞれ異なる特徴があるため、建築の用途や予算、求める性能に応じて適切に選択することが重要です。
たとえば、コストを重視する場合はスギの源平※や節あり材※を、予算よりも上質な印象の仕上がりを重視する場合は、節の少ないスギや赤身材、またはヒノキを選ぶなど、特徴をいかした使い分けが大切になります。
ただし、現代の木材加工技術では適切な防腐・防蟻処理を施すことで、これらの弱点を補い、耐久性を大幅に向上させることが可能です。
とくに土台や床下などの部材に使用する際は、赤身部分の使用や専用の処理剤による対策が必要になります。
一方、ヒノキは比較的耐久性が高めの樹種です。湿気や腐朽に対する抵抗力が強く、天然の抗菌成分であるヒノキチオールが虫害を防ぐ効果を発揮します。その耐久性は歴史が証明しており、ヒノキ製である奈良の正倉院は1300年以上経た現在でも、美しい状態を保っているほどです。このような特性から、ヒノキは「木の王様」と呼ばれるほど耐久性が評価されており、住宅の土台や柱など重要な構造材に適しています。
【建築用材の参考価格(2025年8月時点の目安)】
原木価格:原木市場での価格
正角価格:木材市売市場等での価格
柱(105×105×3000mm)30本で1㎥
樹木のスギとヒノキの見分け方は?
樹木としてのスギとヒノキを見分ける簡単な方法は、葉の形状と樹皮の特徴を観察することです。下表のようなスギとヒノキの見た目の特徴を覚えておけば、森林などでスギとヒノキを区別できるようになるでしょう。
| スギ(杉) | ヒノキ(檜) | |
|---|---|---|
| 葉の特徴 | 針状の葉が、らせん状に枝に付いている 葉の長さは1~2cmで、トゲトゲしている |
葉の裏側にY字型の白い線(気孔帯)がある 葉が枝に密着するよう、平べったく付いている 葉はやわらかく、触れても痛くない |
| 樹皮の特徴 | 樹皮は密着しており、縦に深い溝が細かく入っている 赤褐色で繊維質 |
幅が広く薄い板状で、はがれやすい 赤褐色から灰褐色 |
スギとヒノキ 見た目の違いは?
木材としてのスギとヒノキには、色合いや木目に違いがあります。| スギ(杉) | ヒノキ(檜) | |
|---|---|---|
| 心材の色 | 淡い赤褐色から濃い赤褐色 | 淡い黄褐色から赤褐色 |
| 辺材の色 | 白色から淡黄色 | 白色から淡黄色 |
| 木目 | 木目は通直で、年輪がはっきりと見える | 木目は緻密で美しい光沢がある |
| 見た目の印象 | 赤身部分は上品な落ち着き、白太部分は軽量感がある | 華やかさや高級感がある |
この見た目の違いにより、内装材として使用する際には印象が大きく変わるのです。使い方にもよりますが、スギは温かみのある和風の雰囲気を演出し、ヒノキは上品で洗練された空間を作り出します。
スギとヒノキ 特徴の違いは?
スギとヒノキは、日本を代表する建築材ですが、それぞれがもつ特性は異なります。スギは軽量で加工しやすい特徴があり、大工さんにとって扱いやすい木材です。スギはヒノキと比べても密度が低いため、内部に空気をたくさん含むことから、断熱性に優れています。また防水性が高く、酒樽や船などにも活用されてきました。
空気を含む構造から調湿効果もあり、室内の湿度を自然に調整してくれる働きも期待できます。またスギはヒノキに比べ成長が早く、資源として豊富なため、幅広い価格帯から入手できるのも大きな利点です。やや節が多いものは金額が抑えられる一方、節の少ない赤身※や柾目※といった上品な材料も価格によって入手が可能なため、予算や好みによって選ばれるとよいでしょう。
一方、ヒノキは特有の爽やかな芳香があり、日本人に好まれるだけでなく、リラックス効果も期待できます。さらに抗菌・防虫効果もあるため、シロアリなどの害虫から建物を守ってくれる点もメリットです。木材の狂いが少なく安定性が高いことから、精密な加工にも適しており、加工後の仕上がりも美しく、高級建築材として重宝されています。
このように、スギとヒノキはそれぞれ異なる特徴があるため、建築の用途や予算、求める性能に応じて適切に選択することが重要です。
たとえば、コストを重視する場合はスギの源平※や節あり材※を、予算よりも上質な印象の仕上がりを重視する場合は、節の少ないスギや赤身材、またはヒノキを選ぶなど、特徴をいかした使い分けが大切になります。
| ※赤身 | 木の芯に近く色が濃い部分 |
|---|---|
| ※柾目 | 樹体の中心部を通るように樹軸方向に切削した際に現われる木目 |
| ※源平 | 赤身と白太(辺材)が混在している板 |
| ※節あり材 | 節(木の枝の痕)のある材 |
スギとヒノキ 耐久性の違いは?
建築材料として重要な耐久性についても、スギとヒノキには違いがあります。スギの白太部分の耐久性は中程度で、湿気に対してはやや弱いです。また天然の状態では、シロアリへの抵抗力も比較的弱いという課題があります。ただし、現代の木材加工技術では適切な防腐・防蟻処理を施すことで、これらの弱点を補い、耐久性を大幅に向上させることが可能です。
とくに土台や床下などの部材に使用する際は、赤身部分の使用や専用の処理剤による対策が必要になります。
一方、ヒノキは比較的耐久性が高めの樹種です。湿気や腐朽に対する抵抗力が強く、天然の抗菌成分であるヒノキチオールが虫害を防ぐ効果を発揮します。その耐久性は歴史が証明しており、ヒノキ製である奈良の正倉院は1300年以上経た現在でも、美しい状態を保っているほどです。このような特性から、ヒノキは「木の王様」と呼ばれるほど耐久性が評価されており、住宅の土台や柱など重要な構造材に適しています。
スギとヒノキ 価格の違いは?
価格で比較しても、スギとヒノキには違いがあります。一般的に、ヒノキはスギの1.5~2倍以上の価格となることが多いです。【建築用材の参考価格(2025年8月時点の目安)】
| スギ(杉) | ヒノキ(檜) | |
|---|---|---|
| 原木価格 | 12,000~16,000円/㎥ | 20,000~23,610円/㎥ |
| 正角価格 | 75,900円/㎥ | 95,400円/㎥ |
| 相場感 | 国産材の中では比較的安価 | 高品質材はさらに高価 |
| 価格の特徴 | 安定した供給により価格変動が少ない | 産地や等級により大きく価格が変動する |
原木価格:原木市場での価格
正角価格:木材市売市場等での価格
柱(105×105×3000mm)30本で1㎥

住宅建材にはスギとヒノキどちらがおすすめ?
住宅建材としてスギとヒノキのどちらを選ぶべきかは、求める性能、使用する部位によって変わってきます。それぞれの木材がもつ特性を理解し、建築の目的や優先順位に応じて選択することが大切です。
ここからは、スギとヒノキがそれぞれどのような場合に適しているかを、具体的な状況別に紹介します。
それぞれ説明しましょう。
国内産のスギを使用することは、計画的な森林管理を促し、自然環境の維持にも寄与します。適切な伐採と植林のサイクルを支えることで、持続可能な森林資源の活用にもつながるのです。
コストを抑えながらも品質の高い木造住宅を建てたい場合、スギはおすすめの選択肢です。価格面でのメリットをいかしつつ、他の部分にこだわりをもった家づくりができます。
それぞれ見ていきましょう。
ここからは、スギとヒノキがそれぞれどのような場合に適しているかを、具体的な状況別に紹介します。
スギがおすすめの場合
スギがおすすめの場合は、以下のとおりです。- 流通量が多く入手しやすい
- 調湿効果を求めたい
- コストを抑えたい
- 上品な木目を楽しみたい場合は節の少ない赤身材
それぞれ説明しましょう。
流通量が多く入手しやすい
スギは国内でもっとも流通量の多い木材であり、全国各地で安定的に供給されています。そのため必要なときに必要な量を確保しやすく、価格も安定していて入手しやすい点がメリットです。国内産のスギを使用することは、計画的な森林管理を促し、自然環境の維持にも寄与します。適切な伐採と植林のサイクルを支えることで、持続可能な森林資源の活用にもつながるのです。
調湿効果を求めたい
スギは多孔質な構造をもち、すぐれた調湿性能があります。室内の湿度が高いときには湿気を吸収し、乾燥しているときには湿気を放出することで、快適な住環境の維持が可能です。この自然な調湿機能により、結露やカビの発生を抑制し、健康的で心地よい住空間を実現できます。コストを抑えたい
スギは幅広い価格帯で提供されているため、予算に応じて柔軟な選択ができます。大量に使用する構造材としてのコストパフォーマンスにもすぐれており、経済的な建築を実現できるでしょう。コストを抑えながらも品質の高い木造住宅を建てたい場合、スギはおすすめの選択肢です。価格面でのメリットをいかしつつ、他の部分にこだわりをもった家づくりができます。
スギの美しさを重視したい
価格は少し上がりますが、節の少ない赤身や柾目材を使うことによって、ヒノキに負けない上品で、赤身のある落ち着いたデザインが可能です。ヒノキがおすすめの場合
一方、ヒノキがおすすめの場合は以下のとおりです。- 耐久性を重視したい
- 淡黄色で高級感のある仕上がりを求めたい
- メンテナンスの頻度を抑えたい
それぞれ見ていきましょう。
耐久性を重視する
住宅の寿命をできるだけ延ばしたい場合、重要な構造材にはヒノキの使用がおすすめです。とくに土台や柱など、建物の基本構造を支える部材には、ヒノキの高い耐久性が力を発揮します。高級感のある仕上がりを求める
内装材として使用する場合、ヒノキの美しい木目と特有の香りは、上質な住空間を演出します。和室や玄関など、来客の目に触れる場所での使用が効果的です。メンテナンスの頻度を抑えたい
ヒノキは天然の防虫・抗菌効果が多く含まれており、長期間にわたってメンテナンスの頻度を抑えられます。結果的に、ライフサイクルコストの削減につながる可能性もあるでしょう。
日本の住宅には国産のスギ材がおすすめ
日本の一般的な住宅建築においては、スギ材を主体とした構造がおすすめです。ここからは、その理由を紹介しましょう。
またスギの赤身は、油分を多く含むため、天然の防腐・防虫効果があり、木を守る成分です。赤身の細胞は活動を終えて水分の通り道が閉鎖されているため吸湿しにくく、水に強く耐久性が高い特徴があります。
昔から神社仏閣などにも使われてきた実績があり、とくに耐久性が求められる外構材やデッキ材などに適しています。ただし、土台などとくに重要な部分にはヒノキを部分的に使用するなど、適材適所での使い分けが理想的です。
経済的なメリット
スギは、日本だけに自生している固有種で、日本で広く生育している樹種です。住宅建築では大量の構造材が必要となるため、スギの手ごろな価格は大きなメリットとなります。浮いた予算を断熱材や設備のグレードアップに回すことで、住み心地の向上が図れるでしょう。環境への配慮
スギは成長が早く、植林から伐採までのサイクルを繰り返しやすいため、森林資源を枯渇させません。すでに大量にストックのある国産のスギが年々成長を続けているため、さらなる利用を促進をすることで、林業や地域経済の活性化にも貢献します。現代の建築技術との相性
現代の防腐・防蟻処理技術の発達により、スギも十分な耐久性を確保できるようになりました。適切な処理を施すことで、コストパフォーマンスにすぐれた住宅建築が実現できます。またスギの赤身は、油分を多く含むため、天然の防腐・防虫効果があり、木を守る成分です。赤身の細胞は活動を終えて水分の通り道が閉鎖されているため吸湿しにくく、水に強く耐久性が高い特徴があります。
昔から神社仏閣などにも使われてきた実績があり、とくに耐久性が求められる外構材やデッキ材などに適しています。ただし、土台などとくに重要な部分にはヒノキを部分的に使用するなど、適材適所での使い分けが理想的です。

スギとヒノキの特徴を把握して快適で満足できる家づくりを
スギとヒノキの違いを理解することで、ライフスタイルや価値観に合った最適な樹種選びができます。大切なのは、予算・性能・デザインのバランスを考慮しながら、それぞれの特徴をいかした使い方をすることです。
コストを重視するならスギ材を中心に、耐久性や高級感を求めるなら部分的にヒノキを採用するなど、柔軟な発想で検討します。
住宅は、生涯において非常に大きな買い物です。木の質感を楽しめる無垢材をとり入れることで、木のぬくもりが感じられる住まいが完成します。無垢材のフローリングや柱などを希望する場合には、良心的な工務店や建築士であれば的確な提案をしてもらえるはずです。
スギとヒノキの特性を十分に理解した大工さんや工務店、設計事務所の方と相談しながら、理想の住まいづくりを実現させましょう。
コストを重視するならスギ材を中心に、耐久性や高級感を求めるなら部分的にヒノキを採用するなど、柔軟な発想で検討します。
住宅は、生涯において非常に大きな買い物です。木の質感を楽しめる無垢材をとり入れることで、木のぬくもりが感じられる住まいが完成します。無垢材のフローリングや柱などを希望する場合には、良心的な工務店や建築士であれば的確な提案をしてもらえるはずです。
スギとヒノキの特性を十分に理解した大工さんや工務店、設計事務所の方と相談しながら、理想の住まいづくりを実現させましょう。






